第14話

――――――――――――…


1年生の10月。



「ねえ、ハスナ、ハスナ」


「2回呼ばなくたってわかるよお!」


軽音部の部室でシュリと二人きりだった時。


「私、好きな人が出来ちゃったかも。」


「えぇ!?」


「しーっ!」


すらっと長い人差し指を唇に当てるシュリ。


こんなに可愛くてスタイルも良くて性格もいいシュリに好きな人って!!!


「もはや両思いじゃん!」


「なんでよ」


クスッと笑うシュリは本当に可愛い。


「ごめんごめん、冗談。で、相手は誰なの?」


「ん〜えへへ、ちょっと意外かもしれないけど…シンタロウ…かな」


「へ〜!シンタロウ!…って…ええぇぇえええぇぇえええ!!!!!!」


「しーっ!!!!」



シンタロウってあのシンタロウの事だよね?


私の中でシンタロウは…別にイケメンって訳では無いしうるさいしデリカシーがないし…そんなシンタロウに惚れたの?!シュリが!?


でもまあ親しき仲にも礼儀あり。


シンタロウの悪口はぐっと抑えて、


「ごめん…どの辺にキュンときたの??」


「んー、めっちゃ優しいし…面白いし!一緒に居てすごく楽しいから…かな?」


「ほう…告白しちゃえば?シュリならいけるって!」


物は言いようだなあって思いながら適当に答えた。


「多分無理なの、、実はね――――――…」



その日はシュリの口から衝撃的なことが炸裂してたな。



うちら、5人で仲良しだと思ってたけど


年頃の男女が集まったらやっぱりそうはいかないわけ?


そんなの、悲しい。悲しすぎる。




「シュリ、私はいつでもシュリの味方だからね。大丈夫。」


「ハスナ…」







もしかして、私がずっとシュリの味方でいてあげてたら、シュリは死んだりなんかしなかったのかな。



この約束ひとつ、私はもしかしたら果たせていなかったのかもしれない。

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