第13話


大野さんはね、前1回私たちに話を聞きに来たんだよ!


私はその時のことを思い出した。




―――――――――――――――……


「えっと、眞鍋さん。君は遠野シュリさんと仲が良かったんだよね?」


「はい!ハスナでいいですよ!」


いや〜、警察が話聞きに来るって言うからさ、どんなおっさんが来るかと思いきや…

まさかのこんなイケメンお兄さんだなんて!!!




私は昔からイケメンが大好きだった。


とにかく、自分にも相手にも見た目を求めていた。


だから、私はきっちり化粧もする。可愛いと思う服を着る。ピアスだって開けちゃう。


この学校、結構真面目な子多いからさ?

私みたいに化粧ばりばりピアスごりごりな女の子なんて居ないわけよ。


それでも私は自分を着飾ることを辞めなかった。


だいたいの自由が許されてるこの学校でも、たまに注意されることがあるほどだったけど、入学当時からずっとこのスタイル。



でも、こんな派手な見た目のせいで周りの子は近づいてくれなかったの。


人を見た目で判断するなんて…って思ってたけど、私は人見知りだから自分からは行けない。


そんな私に声をかけてくれたのは、シュリだった。


コトハも、シュリとの時間に私が入り込んでも優しく話してくれた。


軽音部にも誘ってくれて、シンタロウとハヤトとも友達になれて。


シュリのおかげで毎日楽しかったの。


軽音部のみんなには本当に心の底から感謝してる。


だから、私がシュリの自殺の原因なはずがない!



大野さんには申し訳ないけど、私はなんの情報も持っていない。




「…ハスナちゃん、些細なことでもいいからあの日以前に遠野さんが少し変だなとか思ったこと、ない?」


キャ!大野さんに下の名前呼んでもらえた!


「ごめんなさい…本当にわからないんです…。」


「ハハッそんな悲しそうな顔しないでよ。じゃあさ、遠野シュリさんから何か悩みを聞いたこととかない?ほかの友人のこととか、恋人のこととか、家庭のこととか。」


笑った大野さん可愛い〜!本当にイケメンすぎるよ!


「いやぁ〜、まあ、女子高生ならではの恋愛相談はありましたけどぉ。でも、付き合ってたとかじゃなくてね、いわゆる片思いってやつです!大野さんはどんな女性がタイプなんですか?!」


「…えっ俺?俺は…う〜ん、あんまり恋愛経験がないからなあ。で、片思いって言ってたけど相手とか分かる?」


恋愛経験がない?ということは彼女もいない?ふ〜むふむ。


「そうなんですね〜!あー…相手…わかりますけど…」


「教えてくれない?」


「絶対秘密って言われたからなあ…でももうシュリはいないし…でも…」


「無理に言わなくていいんだよ、女の子の秘密を無理やり聞き出すなんてことしたくないし。」


な、なんて紳士なの〜!?


「いや、もしこれが大野さんの役に立つなら!私言えます!シュリは…」


心なしか大野さんのペンを握る力が強くなった気がした。




「柳原シンタロウのことが、好きだったんです。」

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