第10話
次の日学校では臨時で全校集会が開かれた。
もちろん、シュリの事で。
いつもなら、蒸し暑い体育館に集められた俺たちは不平不満を言い続けるが、この日の全校集会はそうではなかった。
2年はみんな深刻な顔をしたり、涙を流したり。
ああ、シュリは本当に愛されていたんだな、と言わずにはいられない空気だった。
…よく見たら、1年は退屈そうにしていたし、3年は単語帳を必死に見ていたが。
全校集会はいつも2列を作ればいい、という感じだったから並ぶ順番とかはなかった。
その日は列の真ん中ら辺に俺とハスナとコトハがいた。
ハヤトは学校に来なかった。
というか、ほかのクラスメイトも俺たちが来るとは思ってなかったみたいで、登校した時はびっくりした顔を向けられた。そりゃそーか。
やがて校長が壇上にあがり、明らかにただ沈みなテンションで話を始めた。
『先日、本校2年の生徒である遠野朱里さんが部室で倒れているのが発見されました。』
ザワザワ…
やっぱり、他学年は知らなかった人がいたのか?
『そして、そのあと遠野さんは息を引き取りました。』
俺は無意識に現実逃避をしてしまった。
校長の話には耳を傾けず、ザワザワした会話に耳を傾けた。
その時聞こえた会話は俺の想像していた会話とは全く違っていた。
「やっぱりあの写真本当だったんだねー…」
「あんなエグい写真、初めて見たよー…」
「つーか、あれ撮ったの誰なんだよ?」
「捨て垢っぽかったしなあ気味わりいよな」
…あの写真…?
エグい…?
捨て垢…?
会話中の単語から察するに、この学校の半数以上が使用しているであろうSNSアプリの事だった。
俺はシュリがあんなことになってから1度もSNSを開いていなかった。
沢山シュリとの思い出が詰まっているから、見ても今は辛くなるだけだと思ったからだ。
「お、おい、あの写真ってなんだよ?」
俺は隣に並んでいた同じクラスのアキトに聞いた。
いつもはヘラヘラしがちなアキトも複雑そうな顔で、「お前見てないのか……見ない方がいいかも。」とだけ言って目を逸らしたんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます