第3話


俺はあの日のことを思い返した。



高校生2年生になったばかりの5月。


そもそも、その日シュリは学校を休んでいた。


「なあ、今日部室行かねーの?」


「うん…シュリ居ないし…」


「ええー、もう、コトハぁ。そんなにあからさまに落ち込まないでよ!ね?」


シュリがいなくてテンションがた落ちのコトハ。


そんなコトハを元気づけようと今日1日頑張ったのだが無理だった。


本当にシュリのことが好きなんだなーコトハは。


「コトハ、大富豪しないか?」


ハヤトが細く長い指の間にトランプを挟んだ。


俺らの中で大ブームを巻き起こしている大富豪。


ハスナがいいねえ!と言うがコトハの顔は浮かない。


が、


「うーん…まあ、ハヤトが言うなら…」


と、なんとコトハがあっさりとOKしたのだ。


イケメンの力って強え〜。


「やったー!」


そんなこんなでハヤトのお陰でコトハを部室に連れていくことに成功。


やっぱり俺らは仲がよかった。


5人揃うに越したことはないけど、こうやっていつも一緒にいる。


「大富豪は人数多い方が楽しいもんねぇー!」


ハスナはコトハの手を握り、弾んだステップで部室に向かい始めた。

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