転校生9p

 相手は直ぐに方美が掛けた電話に出た。

「もしもし、方美です。今、どこにいますか? ええ、ええ……はい、分かりました。直ぐに向かいます」

 電話の相手との会話を終え、電話を切ると、方美は司に「三谷野(ミヤノ)さんは、スキャットウォークの駐車場に車を止めているらしいです。三谷野さん、こっちに予定より早く着いたみたいで、スキャットウォークに車を止めて、コーヒーを飲んでいたみたいです。スキャットウォークなら二度、私達と来ているから、電話で居場所を教えたら、私達も分かると思ったみたいです」と、伝えた。

 カフェ・スキャットウォークは蜜葉学園の周辺にある中で、唯一、駐車場のあるカフェだ。

「三谷野のやつ。森を出て直ぐにあるパン屋の横に車を止めると言っていたのに、いい加減な奴だ。行くぞ、方美」

 司は、方美の電話の相手である三谷野に対して舌打ちをすると、カフェ・スキャットウォークを目指して再び速足で歩き始める。

 その司の後ろに、ため息を一つついて方美が続く。

 司と方美は、自分達が今いる場所の、直ぐ近くにある、本来の待ち合わせ場所であったパン屋の横道に入る。

 横道に入って少しも歩かないうちに司と方美はカフェ・スキャットウォークにたどり着く。

 カフェ・スキャットウォークの外観は真四角で、そして、その、まっ白な外壁から、サイコロを思い出させるので、店は本来の店名では呼ばれずにサイと呼ばれている。

 大きなサイコロの建っている直ぐ隣にサイコロ専用の駐車場があり、その駐車場の広さはテニスコート半分ほど。

 駐車場の中には、サイコロの壁に取り付けられたバスケットボールのゴールがある。

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