転校生8p

 ご丁寧に顔写真までついているそれは、学園へ転校してから、司に命じられて方美が作った方美のクラスメイト達のプロフィールのリストだった。

 方美はスマートフォンの機能を使いリストを作っていた。

 そのデータを司が紙にプリントしたのだ。

 リストは男女別に分かれていて、方美が色々な手を使い手に入れたクラスメイト達の情報が書かれていた。

 そのリストに書かれたクラスメイト、数名の名前に、赤い色のボールペンでチェックがされている。

 司がチェックしたものだ。

「そのリスト、まだ生徒達の情報が不十分だが、転校してから、ほんの十日にしては大した仕事だな。引き続き情報収集を怠るなよ、方美」

 方美はこくりと頷き、手にしたリストのチェックを確認しようとする、と、司が「おっと、後にしろ。もう迎えが来ているころだ、急ぐぞ」と言って速足で歩きだした。

「あ、待って!」

 方美は急いでリストを鞄にしまい、司の後に続く。

 しばらく歩いて、司と方美は、森を抜けた。

 静かな森の中とは違い、森の外にはにぎやかな街並みが広がっていた。

 大きな道路を挟んで沢山の店が並んでいる。

 司と方美は、歩くスピードを落とす。

「迎えが見えないな」

 司が眼を細くして街並みを隅々まで見ながら言う。

 方美も、息を弾ませながら(さっきまで早歩きを続けていたせいだ)キョロキョロと辺りを見た。

 どうやら目的の物が目に付くところに無い事が分かった方美は、スマートフォンを鞄のポケットから取り出した。

「今直ぐに迎えの車がどこに止まっているのか確認します」

 そう言って方美はスマートフォンで電話を掛ける。

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