転校生3p
「鈴莉さん、バスケより、うちのラクロス部に入部して!」
「鈴莉さん、どうか陸上部に!」
昼休み、二年A組は大変騒がしかった。
教室の一か所に、人だかりができている。
A組のクラスの生徒の他に、他のクラスの生徒や三年生までもが集まり、鈴莉司を囲んでいる。
皆、運動部の生徒だった。
司を自分の部へ誘おうと一生懸命、司に話しかけている。
その様子を見て、運動部の輪の外にいるクラスメイト達がため息を吐き、それぞれ囁く。
「また、運動部が鈴莉さんを囲んでいる。アレじゃあとてもじゃないけど鈴莉さんをお昼に誘えないよ」
「ねぇー、声を掛けられないよねー。運動部、バスケの三枝先輩まで勧誘に来ているしさー」
「バスケ部部長の三枝先輩直々に誘いに来るなんて凄いよね。三枝先輩、人気だし」
「鈴莉さんの人気、ヤバイよな、まあ、気持ちは、分かるけど」
「鈴莉さん、仲良くなりてぇな。お昼くらいは一緒出来ないかね」
「だよな、でも、運動部がいるし、それに、ほら、そろそろ……」
教室の戸が、カラリと音を立て開いた。
開いた戸から、一人の人物が一歩だけ教室に足を踏み入れ、良く通る、その声を響かせた。
「司、お待たせ。遅れてごめんなさい。文化部の方達のお誘いが凄くて、教室を中々抜け出せなくて……」
司の妹、方美だ。
騒がしかった教室が一気に静まる。
教室中の生徒が方美に注目する。
「あ、あのっ……」
皆の視線に方美は少したじろぐ。
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