11月

第25話

 わたしは無事に学校に復帰することができた。

「まだ、病み上がりだし。見学してるよ」

「わかりました」

 体育の授業は今週は見学をして、校庭でアルティメットというフリスビーの競技をやっていて、わたしもとても好きな競技だったんだ。

 男子は体育館で柔道をやっていた。

「みゃーちゃん。お疲れ様~」

 受験まであと半年、病み上がりでも絶対に行きたい高校に合格したくて、勉強を始めたんだ。

 わたしは全然勉強に集中はできるけど、なかなか焦ってしまう。

 家では永莉えりちゃんが教えてくれるけど、わからない場所にふせんを貼っておくようになった。

「やっぱり、小夜さよちゃんは応用問題が苦手みたいね。結構、解法は合っているから」

「わたし、わからない場所がいつも後回しにしちゃったりするからな……中間テストもひどかったし」

 二学期の中間テストではかなり悪くなっていた。

 永莉ちゃんがテストの結果をまとめた表を見ている。

「でも……一学期よりはみんなが苦戦してるね。先生が問題の出し方を都立の対策と同じようにしてきたかも」

「永莉ちゃんは……わかる?」

「でも、応用問題ばかりのところもあるけど、基礎問題は必ず大問一で都立高は出るからね」

 永莉ちゃんが言うには、そこの問題が全部解けていれば、応用問題についてはある程度の部分点がもらえるかもしれない。

「そうか……ギリギリまで、粘らないとね」

「そうだね。よし! この問題を解いたら、今日は終わりにしよう!」

 永莉ちゃんがそう言ってくれたから、わたしも気合いが入っているんだ。

 そのまま問題を終えて、採点してもらった。

「よし、今日はすごい! 満点に近いよ?」

 わたしはびっくりしてしまった。

 でも、結構いい点数だったから、安心した。






 先週の週末に模試に行った。

 高校は私立の藤池大学附属高校で、華乃かのともが志望校にしている高校だ。

 とても大きくて、吹き抜けのあるエントランスはめちゃくちゃきれいだった。

「え~と。教室は……ここか」

「小夜。ここだったんだ」

 華乃と朋が隣同士だったから、とても安心した。

 模試については、なかなか難しい問題が多くなっていた。

 英語のリスニングは自信があったから、ほとんどの問題が正解していた。

 その点数を見ることにした。

 都立神村北高校の合格ラインより、少しだけ下回っていたけど、合格圏内はギリギリ入っていた。

「もう少しだね。小夜、よくがんばってるね」

 母さんがそうほめてくれた。

「お姉ちゃん。がんばってるね!」

 妹の雪華ゆきかが塾に向かうときに、声をかけてくれた。

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