第19話

 修学旅行当日――午前六時頃に地元の駅に集合して、班ごとに最終目的地の東京駅へと向かう。

 朝のラッシュ時間で、めちゃくちゃ混んでて大変だった。

 めちゃくちゃ混んでるし……私鉄からJRに乗り換える駅で、わたしは人波に呑み込まれてしまう。

「うわ!?」

 誰かが手を掴み、電車から降ろしてくれた。

 それは悠里ゆうりだった。

「次の乗り換えはこっちだ。急ごう!」

 ホームの上でそう話してくれて、手を離してくれたけど……わたしは少しだけドキドキしていた。

「うん、待って! みんな」




 東京駅にようやく到着したのは、午前七時すぎだった。そのあとに少しだけ話をしてから、修学旅行専門列車(新幹線)に乗っていくんだ。

櫻庭さくらば、ウノやらない?」

「え? やる。みんなでやるか」

 新横浜を通過してからはみんなでウノをやることにした。

 悠里と眞田くんと石井くんが左側、わたしとみゃーちゃんと久保田さんが右側の三人席。

 特にわたしと悠里は通路を挟んで隣同士。

花怜カレンちゃん、捨てるの早くない?」

 久保田さんはアメリカとのハーフで、英語がペラペラなの。

 ルックスもいいし、絶対にモデルとかもやってそう。

「あ、ウノ。上がり~」

 みゃーちゃんが一抜けしてから、だんだんと面白なくなってきた。

 悠里は二抜けして、寝ている。

「小夜、上がってるし! 早くない?」

 あっという間に京都駅に到着し、そのまま特急で奈良公園の最寄り駅に向かう。

 その特急電車で昼ご飯を食べている。

 普通の電車じゃなくて……、たまに走る列車に乗った。



 奈良公園に行くには、歩いていく。

「鹿、めっちゃいる。すごい」

「鹿せんべい、買うの?」

 鹿せんべいを買ったのは、石井くんとみゃーちゃんだけど……鹿にたかられてる。

「うわ~!! 助けて!」

 みゃーちゃんはせんべいを全部渡して、そのままダッシュで東大寺方面へと走っていく。

「みゃーちゃん! 待って~」

平津戸ひらつと!」

 みゃーちゃんを追いついた。

「怖かった……鹿にたかられてるの」

「せんべい、あんまり買わない方がいいよ」

「雅……鹿がトラウマにならないでね……ちょっとだけ、びっくりしているけど」

 悠里が班長をやってるから先に先生にチェックポイントの確認をしている。

「じゃあ、六班、集合~!」

「あ、はい!」

 大仏殿に向かう前に、カメラマンに写真を撮ってもらう。

「カメラを見てね~!」

 わたしはみゃーちゃんの隣で、ピースをしていた。

 久保田さんはセンターでポーズを取っている。

「大仏、デカイ! 教科書とかで、見るよりも大きいよね」

「よし、あと十分くらいで、春日大社に行くよ」

 東大寺から春日大社に行って、京都駅に到着してからは駅から地下鉄とバスを乗り継いで、宿舎の旅館に到着した。

 各自の荷物を運んでおいてあったのを、ロビーで預かってから部屋に向かう。

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