第16話

 少しだけ外が騒がしくなっている。

 どうやら、あの三人が起きて、午前中には小学校の同級生とかでプールに行くようだった。

 わたしはベッドからおりると、洋服に着替えて部屋を出た。

「あ、小夜さよちゃん! おはよう」

「みんな、おはよう」

 リビングに行くと、伯父さんと絢子あやこちゃんがいた。

「おはよう。今日はどうする?」

「受験勉強しないといけないから……部屋に戻る」

 朝ご飯を食べて、それからテレビを少し見てから、部屋で勉強をすることにした。

 すると、絵梨花エリカちゃんと杏奈アンナちゃんがプールに行く準備を終えて亜琉アルくんと一緒に出ていった。




「う~ん、終わった~。あ、お昼か」

 勉強を一通り終えると、お昼ご飯を食べるために再びリビングに行くことにした。

 すると、母さんから電話がかかってきた。

「もしもし? あ、母さん?」

「どう? 軽井沢は」

「過ごしやすい、来ればよかったのに」

 母さんは雪華ゆきかの試合とかで、東京に残っているんだ。

 雪華は三年生の引退試合のスタメンに起用されて、確か今日なんだ。

 それにすぐにあいつはスリーポイントシュートを入れてくるし、なんとかなると思うんだけどな。

「で? 試合は?」

「もう第四クオーター、二中が十点差でリードしまくってる。もうそろそろ終わるよ」

 男子バスケ部も今日が引退試合だって、聞いていたから、悠里ゆうりの試合の光景を見てないのが悔しいけど。

「雪華が二連続でスリーポイントシュート、入れてきた~!!」

 そのとき、スマホの向こうから試合終了のブザーが鳴った途端、悲鳴が聞こえてきた。

「二中の引退試合、勝ったよ!」

「よっしゃ! おめでとう!」

 電話を切り、リビングのソファに座った。

小夜さよちゃん。もうそろそろお昼にしない? エミリアと絵梨花、杏奈と亜琉は友だちと遠出をしてるから」

 伯父さんはすぐに料理を作ってくれる。

 若い頃にホテルでシェフをしていたこともあって、料理の腕はプロなんだよね。

「エミリアさんとはどうして、知り合ったの?」

「エミリアとは? イギリスに仕事で行っててね、そのときのパーティーで招待客として来ていたんだ」

「え? どこで仕事してたの?」

「在英日本大使館」

「すご! なんで、シェフ辞めちゃったの?」

「父さんが亡くなって、跡継ぎの俺が継がないと、仕事とかもできないから。もう三人の子どもたちもいるからね」

 それで、亜琉くんが生まれてからすぐに軽井沢に戻ってきたんだって。

「小夜ちゃんは好きな人とかいる?」

「ん~。いるけど、受験生だし……卒業する前に言うけどね?」

「そういうところ、絢野あやのに似てるよ」

 それから伯父さんから、母さんの昔の話を聞いた。

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