夏休み
8月
第14話
八月になり、わたしは少しだけ滅入ってしまっていた。
「小夜。次の問題やるよ?」
みゃーちゃんと
わたしは夏休みのワークをさっき、全部を終わらせることができた。
「終わった~! ワーク。初めて終わらせることができた!」
「うそ! 速い!」
「もしかして……毎日、解いてたの?」
「うん、そうだよ!」
先月あった三者面談で、志望校を決める最初の話をしていた。
「雅は聖愛女学院を受けるの? 結局」
「うん、成績もその辺が安全圏だし……OGのスポーツ選手がいたスポーツコースを受験するんだ」
「すごい。いつか、オリンピックに行ってたりして」
華乃と朋は藤池大学附属高校を受験することを決めたらしくて、過去問の問題集を解いていた。
「小夜は?」
「いまの成績を維持すれば、都立神村北高校には受かるって……佐久間女子は合格圏内だって」
わたしは都立を第一志望にしていて、三人は私立志望だ。
「あ~、過去問が難しいな」
「え? だよね。今回から少しずつ受験の傾向とかも変わってるらしいからね」
華乃が話していたけど、基礎問題もしっかりしてないといけない。
「はぁ……大変だ」
「え? 永莉ちゃんが?」
「そう。アルバイトで家庭教師をしているのよ、小夜の受験勉強をサポートしてくれるって」
母方のいとこ――
伯母の絢子ちゃんの子どもだ。
おばあちゃんが母さんを生んだのは三十四歳、絢子ちゃんとは十歳年が違う。
二十四歳で結婚してすぐに、永莉ちゃんが生まれている。
「やっぱり、うちの橘家の娘は早婚ね~」
なんて、親戚と集まっては話している。
よくよく考えてみると、親戚の人たちはだいたい大学卒業してすぐか、三十代までには結婚している。
話に戻ると、永莉ちゃんは現在桜木学院大学の学生さんなんだけど、中等部から入学しているから、とても頭が良い。
教師を目指していて、いまは家庭教師のアルバイトをしているところに依頼したんだって。
塾に今さら入ってもな……と考えていたときだったから、びっくりしていた。
「永莉ちゃんが来るのは週一で水曜日にしてもらったから、九月からってことにしてもらったよ」
水曜日……夏休み明けになったら、家庭科部は引退するから、そこに入れてきたみたい。
ここ最近、雪華が落ち込んでいる。
なかなか声をかけることはできなかった。
「雪華も恋をしたのかな?」
雪華が寝たときに、母さんが話した。びっくりして、思わず飲んでた麦茶を吹き出しそうになった。
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