第44話 いざ話し合いへ

 家に戻り、私は考える。

 ミリアムの悩みの根幹はこれで判明した。

 問題は、これからどうするかだ。まさか、ミリアムの想いを私からマリクに言う訳にはいかない。

 そもそも、マリクがミリアムをどう思ってるかも解らない。シエルを好きになるとは言っても、それはマリクルートの中だけの話だし……。


「ん、でも……」


 不意に私は、ミリアムの事を聞いた時のマリクの反応を思い出す。……ミリアムに何の感情もないなら、ミリアムの事を聞いて、あんな反応をするかしら?

 これは一度、問い詰めてみるべきかしら。でも相手は先生。いくら妹の友人とはいえ、生徒に本音を明かすかどうか……。


「……ううん、だからといって動かない訳にはいかないわ」


 私は、ミリアムの恋を叶える手伝いをするって決めた。例え実らなかったとしても、一つの恋に決着を着ける事は、必ずミリアムの為になる筈だ。

 お節介だと言われても……私は全力で、ミリアムの為になると思える事をする!


「そうと決まれば、何とかマリクと一対一で話が出来る環境を作らなきゃ!」


 私は拳を握り締め、持てる知恵を振り絞りに振り絞った。



「先生。お話があります」


 次の日の放課後。私は再び、使用人クラスを訪れていた。

 今回はシエルは連れてきていない。シエルは私についていくとは言わなかったけど、止める事もまたしなかった。


「……どうした?」


 マリクは私を振り返ると、冷静な様子で応える。それがただ平静を装ってるだけなのか、本気で昨日の事を気にしていないのかは解らない。


「大事な話です。出来れば誰にも聞かれたくはないのです。……ミリアムの兄である、信頼出来る貴方にだから話したいのです」

「……」


 私は一晩考え抜いた、マリクを呼び出す為の口実を口にする。さぁ、マリクがどう出るか……。


「……解った。生徒指導室に来い」


 マリクは少し悩んだ末。先に立って、生徒指導室へと歩き出した。

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