それぞれの夏休み
第65話
沖縄での仕事から、一週間が経過していた。
まだまだ夏休み真っ只中。八月に入ってからは外も更に気温を増し、炎天下の中だと色々とやる気も起きない。
普段にいや増して太陽が気になるのは、自分に吸血鬼の血が混じっていると知ったからだろうか。
「……壊れないかな、太陽」
「怖えこと言ってないでこっち手伝えチビ!」
高いビルの間から空を見上げて吐き出した言葉が、少し離れて前にいるカゲロウへと届いたらしい。その隣にいる蓮と共に、巨大なハエの魔物と戦っている。複眼は紅く染まっていて、それが灰色の吸血鬼の眷属である証だ。
あるいは、あの日の葵も。同じ色の瞳をしていたのだろうか。
「蓮くんと二人で余裕って言ったの、カゲロウでしょ。なら二人で頑張りなさいよ」
「こんなデカイとは思わなかったんだよ!」
「カゲロウ、そっちいった!」
蓮の警告通り、巨大なハエが羽音を響かせながらカゲロウへと突撃する。横に飛んでことなきを得るが、すぐに態勢を立て直したハエが、口に当たる部分を開いた。
「あれが来るぞ蓮!」
「ああ!」
そこから何かが吐き出されようとして、それよりも早く。蓮の放った糸が、ハエの体を雁字搦めに縛り上げる。
ハエが吐き出そうとしていたのは、強力な酸だ。つい先ほども、すぐそこにあるコンクリートビルの壁を溶かしていた。まともに受ければ即死してしまう、一撃必殺の攻撃。
ならばそれを利用してやればいい。蓮が糸を操作すれば、ハエの口は上を向く。中断することも叶わずに上空へ吐き出される酸。それがハエ自身の体にかかって、体を溶かす。
「こんなもんかな」
「ナイス!」
蓮とカゲロウが二人がかりでグレイの眷属を仕留めた。笑顔でハイタッチを交わす二人。それを横目で見つつ、葵はハエが溶かした壁を異能で修復する。
カゲロウは元から吸血鬼としてのスペックかあったけれど、最近の蓮の成長には目を見張るものがある。
ついこの前まで、グレイの眷属相手には葵が付いていないとダメだったのに。今では、ほとんど一人で倒せてる。
とは言え、それは相手が一匹だけだった場合だ。複数を相手するとなれば、話はまた違って来る。
「まだ終わってないよ、二人とも」
「げ……」
「これはさすがに、多いな……」
高いビルの谷間から、同じハエが群れをなして現れた。数は十五。一匹だけでも厄介だったのに、全く同じやつがこんなにも。
可視化された情報を検分する。どこかに巣を張り巡らせているわけではないらしい。この十五匹で最後。
「蓮くん」
呼べば、コクリと頷きが。ただそれだけで葵の意図を察した蓮が、詠唱を紡いで糸を射出する。ビルとビルの間に何本もの糸が張り巡らされ、瞬く間に蜘蛛の巣を形成した。
スピードを落とすこともなく、ハエの群れはそこへ突撃し、全てが糸に捕らえられる。
「炎纒」
纒いを発動して、蓮の手元にある糸に触れた。魔力を流し込む。この前の翠との戦闘で使った連携と同じ。炎の魔力は糸を伝ってハエたちに届き、その悉くを燃やし尽くした。
今度こそ、本当に戦闘終了だ。
「息ピッタリだな」
「まあ、学院に入った頃からの付き合いだからさ」
「大体蓮くんと依頼こなしてたし、それだけ一緒にいれば普通だよ」
「ほーん、仲がよろしいこって」
当然だ。なにせ一番の友達なのだから。
周囲には目立った被害もなく、ハエの酸で溶けた壁もすでに葵が修復した後だ。避難していた人たちが疎らに集まり始めた。もちろんそうなれば、葵たち三人に注目が行く。
あまり長く留まっていたら、面倒なことになりかねない。二人に確認することもなく、異能で学院へと転移する。
「お疲れ様、二人とも。私、先生に報告行ってくるね」
「うん、頼んだ」
「先部屋戻ってるからな」
カゲロウが言う部屋とは、風紀委員会室のことだ。夏休みでも殆ど毎日学院に来ている三人は、やることが特になくてもあの部屋で適当に時間を潰していた。
蓮とカゲロウと別れ、職員室へと足を向ける。普通の高校と同じく、教師に夏休みなんてものはない。それどころか学院の教師は普通の教師よりも多忙だ。
希望する生徒たちへの講義に、部活や委員会の顧問。その上で、魔術師本来の仕事だってある。
自身の魔術の研鑽や研究に、魔物や裏の魔術師の討伐などなど。やることが多すぎる、と先日久井が嘆いていた。
「失礼しまーす」
職員室に入り、その久井の姿を探す。自身の席に腰を下ろしていた脱力系教師の隣には、一週間前の沖縄でもお世話になった、長い水色の髪の女性が。
「久井先生。有澄さん」
「おー黒霧、帰ったかー」
「葵ちゃん、こんにちは」
有澄に挨拶を返し、座っている久井と立っている有澄を交互に見遣る。なんだか、不思議な組み合わせだ。学院広しと言えど、同じ職場なのだからそりゃ知り合いだろうし、こうして二人で会話することだってあるかもしれないけれど。
その視線に気づいた有澄が、柔らかく微笑んで説明してくれる。
「一年生の子が、錬金術に関する魔道書を探してたので、聡美に相談してたんですよ」
「錬金術に関しては、有澄に負けてない自信があるからなー」
「それにしても、わざわざわたしに聞かなくても、直接聡美に聞いた方が早いと思いますけどね」
「図書室の美人なお姉さんとお話したい年頃なんだろ、察してやれよー」
妙に親しげな雰囲気だ。あの有澄が呼び捨てにしていることも気になる。夫である蒼ですら、敬称をつけているのに。
「仲良いんですね……?」
「あたしと有澄は、親友だからなー」
「学院の同期なんですよ。こっちに来た時、聡美には随分お世話になりましたから」
「後は小鳥遊と剣崎、クラウンのやつも同期だぞ」
「クラウン……?」
「ルークさんのことですよ。ルージュ・クラウン。それが本名なんですけど、本人はあまり名乗りたがらないので」
疑問符を浮かべる葵に、有澄は苦笑気味に教えてくれた。
そう言えば、以前ルークを視た時にそんな情報があったか。どうも複雑な理由があるっぽいから、深く踏み込んで聞いたことはなかったけれど。
ていうか、この人たちの同期、化け物多くない?
「それで、依頼の報告だろー?」
「あ、はい。眷属にされたハエの魔物が十六匹。巣を作ってるわけじゃなさそうだったので、それで全滅です」
「おーけー。糸井とカゲロウはどうだった?」
「二人で一匹倒せてましたよ。カゲロウは元から魔力量もありますし、身体能力は私達とかけ離れてますから」
私達、なんて。どの口が言うのか。
ふと過ぎった思考は、すぐにどこかへ飛ばしてしまう。
「蓮くんも、ようやく質に量と技術が追いついて来たって感じです」
「有澄から見たらどうだ?」
「大体葵ちゃんと同じですよ。特に、蓮君の成長スピードは凄いですね」
「そーか、わかった。ありがとなー」
この二人からの評価を聞いて、久井達教師はその生徒にあった仕事を割り当てる。
以前までの学院ならばこんなことせず、あくまで生徒自らに依頼を選ばせていたのだが。今となっては事情が違う。出現する魔物も、その時間や数も。
「ま、黒霧がいるんだし、大体のやつは大丈夫だろうけどなー」
「買い被りすぎですよ」
「そんなことねーぞー? お前もちょっとは、兄貴を見習ってドンと構えてろよー」
そんなに気の抜けた声で言われても……。
兄である緋桜が学院に在籍していた当時、久井も学院に勤めていた。だから何度か、久井から当時の兄について聞いたことがある。逆に緋桜からも、久井について色々聞いてたりするのだが。
お互いがお互いに、相手のことをどこかバカにしたように語っていたけど。多分それは、仲が良いことの裏返しなのだろう。
その兄とは、最近話していない。
単純に仕事が忙しくなった、ということもある。沖縄から帰って来た翌日、緋桜から電話でそう聞いた。
だから、その時に話は出来たはず。聞きたいことを聞けたはず。葵のこと、カゲロウのこと、家族のことを。
サーニャにだって、学院に来たら毎日会う。けれどなにも聞いていない。カゲロウや朱音も、葵に気を遣っているのか、そう言った話はしていない。
そうしているのは、葵の意思に他ならない。
聞くのが、知るのが怖いから。その覚悟が出来ていないから。
今はこのままでいい。理由も理屈も訳が分からないけど、使える力があるなら使う。やがて来たる灰色の吸血鬼との戦いには、強い力が必要だから。
そうやって先送りにした。
「それは、黒霧自身がどうしたいかだろー」
「え?」
突然降って来た声に驚き、思考の海から浮上する。まるで見透かされたような言葉。でも発言者の久井にそんな意図はなくて。
「葵ちゃんはどれがいいですか?」
「えっ、と……なんの話ですか……?」
「おいおい、先生の話はちゃんと聞いとけよー。今、お前の新しい髪型考えてるんだからな」
なにがどうしてそんな話になったのか。
さしづめ、有澄が先日の沖縄でのことを話したのだろう。あの時は本当酷い目に遭ったものだ。完全に有澄と朱音のオモチャにされていた。
「せっかく華の女子高生なんだから、お前ももうちょいオシャレした方がいいぞー?」
「それ、聡美が言ったらダメですよ。いつもオシャレなんて気にしてなかったじゃないですか」
「あたしはいいんだ。面倒だからなー」
あはは、と苦笑いが漏れる。実際久井は現在も、適当なシャツに適当なジーンズを履いているだけだ。髪もボサボサとは言わずとも、必要最低限しか手入れされていない。オシャレのオの字も見当たらない格好。
「それで、どれがいい? 黒霧は髪の長さ的に、色々とアレンジ出来そうだし。いつまでもツインテールばかりって言うのもどうかと思うぞー」
「私は……」
少しだけ、逡巡する間があった。
けれど直ぐに愛想笑いを浮かべて、しかしハッキリと、自分の意思を口にする。
「私は、このままでいいです。この髪型、気に入ってますから」
◆
本日の桐生朱音は、完全オフである。
事務所は閉めて学院にも顔を出さず、適当な洋服に身を包んで街を散歩していた。
適当とは言っても、朱音のような美少女が着ていれば様になってしまうもので。スキニーパンツ(愛美のお下がり)の上に少し大きめのダボっとしたシャツ(織のお下がり)と、メンズよりのファッション。着る人が着ればダラシなく見えるシャツも、朱音が着るだけでなんかそう言うコーディネートっぽくなるのだから不思議だ。
行く宛も特に決めず、街をぶらつく。商店街のおじさまおばさま達に挨拶を交わし、花蓮と英玲奈が通っている高校の前を横切って、駅周辺の行きつけスイーツ店で昼食前のおやつタイム。
海沿いにある大型ショッピングモールで昼食を済ませた後、事務所まで転移で戻り、今度は北にある住宅街へと足を運んでいた。
ここは一軒家が多く立ち並び、街の南側とはまた違った風情がある。車の走行音や道を歩く人達の話し声、流れ聞こえる店内BGMなど、街中特有の喧騒はなく。
聞こえてくるのは、家族の楽しげな笑い声や、鳥の鳴き声ばかり。
標高もそれなりに高くなっているので、強い風が朱音の黒髪を揺らす。この暑さの中だと涼しくて気持ちいい。
「平和だなぁ……」
見下ろせる街並みを眺めて、しみじみと呟いた。魔物や魔術師は現れるし、やつらは一般人も容赦なく襲う。
それでも、十三年間を過ごしたあの世界と比べれば、平和すぎるくらいだ。
どこまでも広がる青い空。はるか彼方を見やれば、その空と海が重なっている。
繁華街の方では、今もどこかで誰かが笑い、当たり前の日常を謳歌している。今日に限れば、完全にオフの朱音は結界の維持に集中出来るため、街中に魔物や魔術師が現れることもない。
平和だ。
その空気を全身で噛み締めるように、深く息を吸って、吐く。自然と微笑みが漏れて、やっぱり行く宛なんかないのに、ゆっくりと足を動かす。
なんとなく途中で角を曲がり、住宅街の中まで入った。そんな朱音の視界に、黒い影が映る。
「猫?」
猫だ。黒猫だ。幸運の象徴であるが故に、横切られると不幸が訪れるとされる、黒猫。その存在そのものが不幸の象徴であると勘違いされやすい、ちょっと可哀想な猫である。
ほんの少しの好奇心を瞳に宿した朱音は、気配を完全に消して黒猫の後を追った。葵辺りが見ていたら、また朱音に猫耳や尻尾を幻視していたことだろう。
美人な猫は朱音に気づくこともなく、フリフリと尻尾を振って優雅に歩く。通りがかったご婦人が、猫と朱音を微笑ましく眺めていた。
何度か角を折れた先、辿り着いたのは公園だ。とは言っても、遊具なんてなにも置かれていないから、単なる広場と呼んだ方が正しいかもしれない。
しかしその中には、妙に気になる光景が。
ベンチに座った一人の少年。その彼を中心として、五匹の猫が集まっていた。朱音が追いかけていた黒猫も、その輪の中に入る。まだ表情に幼さの残る少年は、笑顔で黒猫を受け入れた。
「こんにちは」
公園に足を踏み入れた朱音は、なんの躊躇もなく少年に話しかける。
気配を消したままだったせいか、肩を揺らして驚く少年。猫たちも全身を震わせ、ベンチの影へと隠れる。どこかへ逃げ去ってしまう子はいなかった。
「……誰?」
「驚かせてすみません。桐生探偵事務所、って知ってます? そこの桐生朱音というものです」
「ああ、あの事務所の」
存在は知っていたのだろう。得心したように頷く少年だが、瞳には警戒の色が滲んでいる。いきなり話しかけられたら、こういう反応が普通だ。おかしいのは、朱音の方。
その辺りの自覚は持っているので、まずは警戒を解くことから始めよう。
私も猫と遊びたいので。
「お散歩していたら、たまたま見かけて。猫、好きなんですか?」
「うん、まあ」
「可愛いですよね。私も好きです」
しゃがみこんで隠れている猫たちに手を差し出すも、やはり警戒されているのか誰も近寄って来ない。
ガッカリしたのが表情に出てしまったのか、少年が猫たちに大丈夫だよ、と声をかける。ただそれだけで、猫たちはベンチの影から出てきた。恐る恐るだが、朱音の足元に近づいてくる。
「おぉ……! 猫とお話出来るんですか⁉︎」
「出来るって言っても、信じないでしょ」
「信じますよ」
恐らくは異能持ちだろうな、と当たりをつけ、近寄ってきた猫と戯れる朱音。合計六匹の猫に囲まれて、酷くご満悦な様子。
愛美と同じく、朱音は可愛いものに目がない。家にある人形とか、小動物とか、控えめに言って大好物だ。
余りにも無警戒に顔を綻ばせる朱音を見て、少年も態度を和らげる。
「こいつらみんな、元はバラバラの場所に住んでたんだ。繁華街の方にいたやつもいるし、商店街の近くで可愛がられてたやつもいる。でも最近、なにかと物騒で、住んでる場所を追いやられてここまで来たんだ」
「放し飼いしてるわけじゃないんですか?」
「違う違う。こいつらが勝手に僕のところに集まってくるだけ。本当に信じてんのかは知らないけど、こいつらと話してるうちに色々聞いてさ」
「む、ちゃんと信じてますよ」
「どうだか」
自分自身を笑うように吐き出された息。この少年自身、自分の持っている異能を信じきれていないのだろう。
もしかしたら、幻聴かもしれない、ただのイタいやつかもしれない、と。
だが、こんな世の中だ。受け入れられたわけではないが、その存在を認知され始めている。魔術師という、異端の存在を。
「ほら、最近話題の魔術師って言う人たちもいるじゃないですか。あの人たちも不思議な力を使ってますし、動物と話せるのも似たようなものだと思いますが」
自分の正体を棚に上げて、励ますように言ってみる。魔術と異能では全く違うのだが、一般人からしてみれば同じものだ。
果たしてそんな言葉を受けた少年は、なおも重いため息を吐くのみだった。
「勘弁。僕があんなやつらと同じとか、一番最悪なパターンだ。だって、こいつらを元の住処から追い出したのも、その魔術師ってやつらのせいなんだぞ?」
「ぁ……」
つまり、朱音自身もその一端を担っている。
少女の気持ちとは関係なく、この街で戦うことで居場所を奪われた存在がいるのは、たしかな事実だ。
「って、こんな話されても困るよな。ごめん」
「いえ、構いませんが……」
困ったように微笑む少年に、なんと返せばいいのか分からなかった。
ふと、少年の服装に気づく。見覚えのある制服だ。丁度今日の午前中も、同じ制服を着た高校生を何度か見かけた。
「もしかして、市立高校の方でした?」
「うん、あそこの一年だけど。君も?」
「いえ、私はまだ十四歳ですが。知り合いに、あなたと同じ高校の三年生がいるんですよ」
花蓮と英玲奈も、この少年と同じ学校だ。この街にはあの市立高校しかないから、同じ制服をよく見かける。この街に住んでいる高校生全員が通っているわけでもないし、他の街からも通ってる人はいるだろうが。
「歳下だったんだ。同い年かと思った」
少し驚いているのは、朱音が大人びた顔つきをしているからだろう。母親譲りの美しい顔立ちは十四歳と思えなく、けれど僅かにあどけなさを感じさせる。少年の勘違いも頷けるものだ。
まあ、転生者的な実年齢で言えば、多分何万倍も歳上だと思うけど。
その辺りの正確な数は朱音も覚えていない、というか数えていないので、頭の片隅へ追いやる。
引き続きにゃーにゃー言いながら猫と戯れていると、ふとした拍子に公園内の時計が目に入った。時間を見てみれば、そろそろサーニャが夕飯の準備をしにやってくる頃合いだ。
だが、この猫たちと別れるのは名残惜しい。もはや警戒は完全に解けていて、今も朱音の手にキジトラが顔を擦り付けている。その隣では茶色い毛並みの雑種が、つぶらな瞳で朱音を見上げていた。
帰りたくない……! けど、帰らないとサーニャさんに怒られる……。
そうして苦悩した果て。朱音が辿り着いたのは、簡単と言えば簡単な結論で。
「あの! 明日もここに来ていいですか⁉︎」
「まあ、別にいいけど」
「やった! あ、そうだ。お名前を伺っていませんでしたね」
「
日本神話に登場する神と似たような名前だ。両親が意識して付けたのだとしたら、魔術師である可能性も出てくるが。
丈瑠自身からは魔力なんて感じられないし、さきの会話もある。見当はずれだろう。
「丈瑠さんですね! なにか困ったことがあれば、いつでもうちの事務所に来てください。必ず力になりますから!」
最後に猫を一撫ずつして、事務所の宣伝も忘れずに、朱音は丈瑠と猫たちと別れた。
さて、今日の夕飯はなんだろう。葵や蓮たちも来るかな。
こうして、桐生朱音の休日は過ぎていく。
あまりにも平和で、穏やかで。小さな体を包み込むような幸せの一日が。
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