第71話 新たな依頼
「あ~ねむ……」
超法学研究部の椅子に座って背伸びする圭人。
その様子をみてふふっと笑うハーマ。
「眠そうだな」
「勉強に忙しいですから」
当たり前だが圭人は勉強に追いつくのが大変なのだ。
リガルティアは中高一貫教育なので高校受験が消えたとはいえ、科学関連の授業は日本よりもレベルが高い。
さらに言えば、国語、社会や歴史と言った文系分野は全くの白紙状態なのだ。
幸い、歴史が非常に覚えやすい内容だったとは言え、難しいことには変わりない。
「うう~補習受けるかも……」
その隣で泣きそうなイナミ。ちなみに追試や補習もこちらにはある。
「よかったら……僕も補習手伝うから」
遠慮がちに……それでいて何かを期待するような目で申し出るエルメス。
「……いいよ。アイナさんにお願いするから」
少しだけ悩んだ後イナミがそう答えて残念そうに顔を曇らせるエルメス。
「うう~……なんで圭人はそんなに頭がいいの? 」
恨めしそうに机に突っ伏しながら言うイナミ。
それもそのはずで圭人のハンデは簡単には埋まらないものだ。
だが、そんなイナミの言葉に圭人は苦笑する。
「……一緒にいた友達に一人頭がいい奴が居てな……いや、バカか。そいつのおかげかもな」
そう言って英吾のことを思い浮かべる圭人だが、不思議そうな顔をするイナミ。
「バカなのに賢いの?」
「そう。バカなのに賢い」
(いっつも変な方向から答えだしてたな)
かなりのお調子者だが花瓶事件などの困った問題を解決してくれる男でもあった。
もっとも困った問題を引き起こす男でもあった。
(答え方が秀逸な割にバカな内容が多かったな~)
在りし日の英吾のあほ面を思い出す圭人。
「むぅ~……なんか笑ってる……」
不満そうに不貞腐れるイナミ。
「色んな事件を引き起こす男でなぁ……一緒にいて飽きることがなかった……」
遠い目をした圭人を少しだけ悲しそうに見るイナミ。
そんな話をしていた時だった。
「ごめーん。ケート君はいる?」
すらりとした青人美女のアイナが入ってきた。
「何の用?」
じろりと睨むティカ。それを見て少しだけ後ずさるアイナ。
「ご、ごめん! どうかしたの?」
「どしたのティカ?」
不思議そうなイナミ。それを見て押し黙るティカ。
「何やってんだよ二人とも。どうかしたんすか?」
「ごめんなさいケート君。ちょっと手伝ってほしいことが出来たの。お願いできるかな? 」
「え~と……出来ることなら良いですけど……なんです?」
「家出人の捜索なの」
それを聞いて圭人はきょとんとした。すると、後ろからタマノが現れた。
「ちょっとお願いしたいことができたんだ……」
タマノは困り顔でそう言った
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