第53話 どじっこ美人
「あら? 」
中からは青人モデル系美女アイナが出てきた。
「ちわっす」
ぺこりと軽く挨拶する圭人にアイナさんは嬉しそうに微笑む。
「タマノ姉と遊んでたんですか? 」
「え? ……ま、まあそうね……け、ケート君は今帰り?」
「そうっす」
「お、遅かったのね。い、いつもこんな時間なの?」
「最近はそうっすね。部活の関係でこれぐらいになってます」
「そ、そうなんだ……」
なぜかどもりがちに答えるアイナ。
話しながらもちらちらとよそを向いている。
「な、何の部活してるのかな?」
「超法学研究部です」
「そ、そうなんだ……」
なぜか明後日の方をみながら手を糸巻きのようにくるくる回して尋ねるアイナ。
「あ~アイナ? どうした? 今日は変だぞ?」
中からタマノが出てくる。微妙な顔でこちらの様子を眺めている。
「帰るんじゃなかったのか?」
「え? ……ああ! そう! そうだったわね! じゃあ、さようなら!」
そう言って慌てて単車のハンドルを手にとって……
プスン
エンジンをかけようとして失敗する。
「あ、あれ?」
プスンプスンと間抜けな音を立ててエンジンがかからない単車。
「あ~アイナ? 鍵が刺さってないようだが?」
タマノの呆れ声でアイナがはっとして慌てて鍵を取り出そうとして……
ガシャン!
単車を倒してしまう。
「あ~~~!」
倒した単車を涙目で見るアイナ。
「だ、大丈夫っすか?」
圭人が慌てて単車を起こすのを手伝う。
「だ、大丈夫だから!」
そう言って再びエンジンを吹かそうとして……
プスン
失敗する。
「アイナさん鍵鍵! 単車は僕持ってますから!」
慌てて助ける圭人。だがアイナは相変わらず慌てたままだ。
「そ、そうだった!」
アイナは慌てて自分の体をまさぐって……
「あった!」
ぐしゃ
携帯ごと取り出してしまい、携帯を下に落とす。
「あ~……」
「なにやってんだ?」
あきれ顔のタマノがすたすたとアイナに端末を取って渡す。
「ほらちゃんと持っとけよ」
「ごめん……」
そう言ってようやくバイクに跨って……
プスン
また失敗する。
「だから鍵!」
「そうだった!」
慌てて鍵を入れるアイナ。そして……
ブロロロロ!
ようやくエンジンがかかる。
「ご、ごめん! さよなら!」
アイナは慌ててそのまま飛び出し……
「うおい!」
標識にぶつかりそうになったが寸前にかわしてそのまま疾走する。
後に残された三人が呆然とする。
「……アイナさんって……どじっこ?」
「……かな? でもアイナさんがあそこまでドジするのは珍しいかな?」
「あいつどうなってんだ?……」
三人は首を傾げながら家へと入っていった。
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