学生冒険者

第1話 勇者候補生ですか?

国際的なe-sports大会

CFB決勝戦

向かい合う机、相手は迷彩服を着た現役の軍人衆だった。

命など関係ないゲームの世界。

マサムネは司令官役として部下を猟犬のように使っていた。

「掻き出してきて」

それが口癖、待ち構える敵を狩り立てる部下、技術もすごいが、画面がカオスだった。

猟犬、ボロ雑巾、餌、ルール内ならなんでもやる、ドSの極み

害悪ゴミ司令官。

案の定、部下は次々と倒され、マサムネが残る。いつも通りの結果。

知ってる者は安堵し、知らない者はハラハラする展開だろう。

相手はサブマシンガン、マサムネは対物ライフル。

マサムネは相手より技術的に上、

相手は隠れてるが、マサムネに見つかった。

壁越し跳弾、もうわけがわからない。

会場は最高潮に達した。

相手はコントローラーを投げ捨てた。

「無理だろこんな連中」

ゲームでマジギレの軍人衆。

優勝し、帰路につく。

「みんなありがとう、俺はいらないから賞金はみんなで分けて」

ゲームで部下を散々な目に遭わせるからそのお詫びだ。

しばらく歩いて家まで30mの距離、高架橋の下を通ると突然、魔法陣が現れた。

視界が狭まり暗くなった。

「寒い」感覚だけがある。

すると声が聞こえてきた。

「どうやら失敗したようです。この者には適正がありません」

なんだ突然、しかも全裸じゃないか!

「こちらへどうぞ」

男の声に案内された。

そして物語が始まった。


理不尽なうえ、全裸で召喚される当該者には、目隠し魔法の一つダークネスでの目隠し、それからとある部屋に全員集められる。

「ここはどこ、ありきたりな質問をするが」

テンプレート通りの質問

『たしか、大会の帰り道だったと思うが、』

「お名前をお伺いしたい」

声がする

「突然名前を聞くとは不審者の極み、俺はマサムネだが先に名乗れ」

存在A「申し遅れました、私は召喚責任者の魔導師長マクシス・ロストツェフと申します。試験場での手違いによりあなた方を召喚してしまいました」

ここでは勇者召喚のための試験が行われているらしい、間違いで人生狂わすとは、こいつらは何様なんだよ。

マサムネ「ふざけんなよ」

召喚責任者「大変申し訳ございません」

存在B「あ~、詳しい事はいい、俺たちは今、全く知らない世界に、しかも全裸で召喚されたと...」

マサムネ「服くらいはいいでしょうよ?」

召喚責任者「服は後ほど体に直接転送されます故、着衣があると大変なことになるのです」

どういう理屈で強制全裸なんだよ。意味不明すぎる展開を受け入れるのは相当にやばい。

マサムネ「じゃぁそれまでは?」

召喚責任者「全裸です、しかし、そのままで外に出すわけにもいかないですので...あなた方を暫く幽閉します」

存在B「それならいい、疲れているからさっさとしてくれ」

マサムネ「仕方無いです、で、目隠しはとってくれますよね?」

召喚責任者「皆様は相部屋ですから外すことができません」

存在B「で、さっきから後ろにいる人は?」

「ラ、フィ、、わたしはラフィア」

女性

存在B「もう一人は?」

「わたしはエウフェリア...」

また女性か

マサムネ「見えてんのかよ...」

存在B「気配で分かる」

目隠し状態で存在を察知する方法は限られている。

マサムネ「そういうことか...」

「私はレティ」

可愛い声

「僕はエルザ」

男の子の声

マサムネ『男3人に女3人か』

マサムネ「自己紹介が遅れたが俺はマサムネ、27歳」

「私は武装偵察大隊長イーサン・イングラム中佐だ」

こういう異世界物に本物の軍人を召喚するとは世も末ということか、、、

衛兵「間もなく陛下のお出ましとなります、陛下に全裸をさらす事は出来ませんので一時的に首より下を仕切りで囲みます。なお起立したままで構いません」

なら、最初から個人用の仕切りを作って渡してくれよ、そこら辺の気遣いができないのか?

暫くして、ジャラジャラと、宝飾品の音と、高齢男性のようなゆっくりとした足音も聞こえる。テンプレート通りの国王と思われるが、、、

存在C「そろそろお前たちの自己紹介も済んだだろ、ワシはエルファルト王国国王代理カトリーヌ・エルファルト」

存在D「私はエルファルト王国12代女王ジョセフィーヌ・ド・エルファルト」

女王『あの少女は、、、魔導師長も毎回毎回やってくれますね』

マサムネ「何だよ国王代理て、」

国王代理「言葉使いには気を付けたまえ」

女王「下がれ代理、この方々は国賓とする」

国賓を無理矢理に全裸にするとは王室のコンプライアンスを疑う、いや、異世界人に法令など通じない。

国王代理「御意」

女王「存じ上げないこともございましょう、混乱されるのも無理ありません、ここエルファルト王国は他の国とは違い、女系国家なのです、この男はあくまでも代理です。権限はすべて私が持っております。」

マサムネ「じゃぁ、話は早い俺たちを元に戻してくれ」

女王「私の知る限りでは召喚されたものが元の世界に戻ることが出来ないのです」

拒否することもできなく、無理矢理召喚され一方通行

汝、我を釈放せよ、そう言いたくなる。

マサムネ「それは困る」

今更、困ったとかいうレベルではない

イーサン「じゃあ相応の詫びでも貰おうか」

女王「それは重々承知しております、あなた方を召喚してしまったのも、女王たる私の監督不行き届きによるもの、ですから私の権限で用意できるものでしたら、速やかに準備いたしましょう」

イーサン「こういう異世界物のゲームやったことあります?」

マサムネ「少しだけだけど...」

イーサン「最初に必要な物といえばなんです?」

マサムネ「お金...いや、説明書か、攻略本かな、、この世界については何もわからない、仮に異世界だったとして、イーサンは軍人でしょ?、俺は、戦闘訓練なんて受けてないから、ゲームや漫画みたいに魔物狩りなんてやったら間違いなく死ぬと思う」

テンプレート通りの行いは死を招く結果となる、それがこの世界の掟か?

イーサン「私は使い慣れてない武器は使うつもりはないです」

マサムネ「じゃ、決まりだ」

イーサン「教育いや、訓練!!!」

士官学校卒の中佐が新兵教育に志願するとは絶望的だろう。

女王「それではギルドの冒険者養成学校に入学されてはいかがですか、在学中にはお金も支給させていただきます。」

イーサン、マサムネ「異議なし」

女王「それでは衣服が転送され次第、入学となります」

マサムネ「ところで、他のみんなはどうする?学校行く?」

他のみんな「行く」


幽閉部屋、目隠しされた全裸の男女が一つの部屋にいるという異常な状態 。


翌日の朝、部屋とはいえ、春の朝はまだ寒い、その上、国賓を石造りの部屋に閉じ込めるという、

普通ならありえない展開に普通は疑うものだが

既に設定が滅茶苦茶で病的になんでも受け入れてしまう。

召喚責任者「一人ずつ気をつけて部屋から出てください、間もなく衣服が体に直接転送されます」

ラフィア「寒くて死にそー」

エルザ「おじさん、僕恥ずかしいよ」

次々と転送されてくる服

衛兵「調整は済みましたか?」

全員「はい」

召喚責任者「ではダークネスを解除します。目を開けてください」

中二病のような詠唱を行う

召喚責任者「魔力の権威たる魔導師長が命ずる、森羅万象の理を今一度読み解き、頂点に立つものとしての力をかの者に顕現せよ

ダークエリミネーション」

召喚責任者「陛下からのお話がある故、私はこれで失礼します」

少しばかり怯えている召喚責任者

再三にわたり女王に迷惑をかけている様子だし、極刑もあり得るか、、、

イーサン「あれ?男3人に女4人?」

マサムネ「昨日より増えてるよね?」

イーサン「じゃぁ、もう一度自己紹介をしましょう」

「では最初に、私はイーサン」

「俺はマサムネ」

「私はレティ」 鎧はぼろぼろだが、可愛いエルフ

「私はエウフェリア」 異世界物の定番、亜人、半獣人、獣人、どれだよ

「私はラフィア」 同じ感じか

「僕はエルザ」 普通の女の子か、って男じゃなかった。巨乳なのに一人称が僕はちょっと意外だった。

イーサン「お前は?」

「おれはマシュー」

マシュー「1つ言わせてくれ、女王が権力で準備してくれるなら、せめて厚手の布団くらいは入れてもよかっただろ、こんな昔の世界なら風邪引いたら死ぬぞ」

イーサン「配慮が足らず申し訳ない」

マサムネ「みんなはここに来る前に何やってた?」

イーサン「私は国を滅ぼそうとした、某過激派の偵察の指揮やっていました」

エウフェリア「私は奴隷だったんです」

イーサン「女性を、、、許せない」

ラフィア「私も奴隷でした」

イーサン「二人もか、、、」

異世界あるある、亜人は奴隷、

エルザ「僕は森で遊んでた」

マサムネ「俺はCFB大会の帰り道だった」

イーサン「結果はどうでしたか?」

マサムネ「接戦だったけどなんとか優勝できた」


司令官役としては容赦ない戦法で指揮を執り、部下を猟犬のように扱う

イーサン「私たちのところからも何人か出たみたいですが惨敗でした」

レティ「2人はなんの話してるの?」

マサムネ「ゲームと言って、仮想空間での模擬戦みたいなこと」

レティ「詳しく聞かせて」

それから1時間ほど話した 、めちゃくちゃ食いついてくる。

レティ「私は模擬戦だといっつも、みんな真っ先に私を狙ってくる、私もそれが好きでやってるからいいんだけど、」

単なるいじめか、強すぎるからラスボスみたいに狩られる側なだけなのか、

マサムネ『かわってるな』

イーサン「もう寝ませんか」

エウフェリア「明日も早いですし寝ましょう」

服が転送され、暫く雑談をしてそれからは、各々での退屈な時間を過ごす。

人生が狂い始めた人とは思えない。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る