第21話 大学1年生2

それからというもの、週に1回は誰かの部屋にお世話(寝泊まり)になるようになった。


大学の講義について、専門科目(経済学部)は意欲的に取り組んだと思う。

教授の部屋にもアポなしで質問に行くことが度々あったし、自宅で勉強している時は同じく実家暮らしの同期と「FAX」でやり取りしながら問題点を解決していた。

ところが一般教養科目についてはチンプンカンプンで、高校の主要5教科の延長になるような講義はついていけたが、例えば「象形文字入門」であったり初めてお目にかかるものについては全く理解できないどころか意欲すらわかなかったのである。

第二外国語はドイツ語を選択していた。

入学前に初級入門クラスの書籍を購入して軽く予習していたが、全くわからない。

というより一般教養科目の勉強の仕方がわからなかったのである。

高校時代であれば必死に頑張ったであろうが、大学で「自由」を履き違えた俺は、理解できないと諦めた瞬間から講義に出なくなった。

こうして暇な時間はビリヤードしたり純喫茶でクラシックを聴きながら読書したりして過ごすことも少なくなかった。

当然のことながら前期試験では専門科目以外の取得単位はほとんどなく成績表には「放棄」の文字が一番多かったが「不可」はなかった。


その頃ようやく携帯電話を購入。

ドコモ主流の流れに逆らうようにJ-phone(現SoftBank)を使用していた。

まだ写真の機能もなかった時代だ。


大学の夏休みは長い。

これを機にバイトを始めることにした。

大学の近くでやると帰宅時間のこともあるので、博多で探すことに。

もう土木作業員のような朝からのバイトはできないので、夜の時間帯ともなると外食産業がすぐに思い付くわけだが・・・

ここで中学時代に目指してた調理関係にしようと思い、居酒屋のキッチンスタッフの募集に応募した。


居酒屋のキッチンを志望する学生は珍しかったらしくすぐに採用となった。

九州イチの繁華街にある商業ビルにある居酒屋なのでランチタイムもあった。

とりあえず17時~23時の形態で入ることに。

ほとんど休憩なしの立ちっぱなしということ以外は特に難しいこともない、ただホールスタッフに比べて(自分が言うのも何だが)雰囲気は暗いので、やっていけるかどうか不安と戦いながら慣れていくしかなかった。


このバイトにハマることで大学生活は大きく変わることになる。

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