第15話 高校生8

そうして迎えた私大受験日。

試験会場にはぽつぽつと顔見知りがいた。

中には「何でお前が受けるんだよ。合格の枠が減るじゃないか。」と突っ掛かってくる者もいた。(まぁそう言いたくなるのも仕方がない)

また3年ぶりに中学の時の友人に出会ったりもした。

当時の俺しか知らない連中はまさか俺が大学受験する立場にあるとも思っていなかったことだろう。そう顔に書いてあった。


受験したのは文系学部であったが、今イチ世界史が苦手だったので、受験科目は国数英で受験。

ところが1つの学部の数学問題では初めて見るパターンの問題があり、見た感じは難易度も高くなさそうなのだがどうもアプローチ方法が見つからない。

時間だけが過ぎてしまい「これはマズいな」と思いながら1日を終えた。

地元のA大学とB大学の経済学部商学部、計4つを受験。


結果から言うと3勝1敗であった。

AとBでは偏差値で約10ほど開きがあるにも拘わらず安易な学部で不合格となった。

あの数学でつまずいた学部である。

進路指導部の先生達からは

「まぁノルマは果たしたな」

という慰めをいただいたが・・・

これは恥ずかしくてクラスの誰にも言わなかった。


その頃からは普通の高校生のように放課後や休日に友人らと遊ぶようになった。

それまで遊びを知らなかったので18歳にしてカラオケも初めて行ったし、そこそこ悪い遊びもやった。

むしろ遊びにハマったと言っても過言ではない。

友人らと遊ぶことがこんなにも楽しかったのかと、毎日のように遊んでいた。


卒業式の日は特に思い出に耽ることもなく、「ようやく勉強ばかりの刑務所から出られた」という思いで一杯だった。

その夜に仲良しグループで打ち上げがあるということで参加することに。

場所はもつ鍋屋・・・

もう皆当たり前のように酒を飲んだ。

こいつらこんな楽しいことを以前からやってたのか!と俺も高揚し、(ビールは一口でダメだったので)日本酒を浴びるように飲んだ。

当然最後には気分が悪くなり公園で嘔吐しまくった・・・

そんな苦しむ俺を見てニヤニヤしていた友人らを恨めしくも思ったが、誘ってくれた有り難さの方が大きかった。


こうして大学入学まで1ヶ月となった。

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