第10話 高校生3

2週間ぶりの帰国翌日から春休み補習に参加することになり、この時ばかりは疲れてたがいよいよ特進クラスでの生活が始まると思うとワクワクしていた。

2年になると1年の時にあった特進3クラスは2クラスに減り、文系理系と別れた。

俺は文系だったが授業科目を見て驚いた。

5教科だけでも現国・古文漢文・数学Ⅱ・数学B・世界史B・日本史B・物理ⅠB・化学ⅠB・英語

これでは文系も理系もあったものではない。

幸い数学は得意な方だったが理科をやる、それも生物ではなく物理化学とは泣きそうだった。

しかも1年時に特進だった生徒は準特進より授業スピードが速く、既に教科書の半分は終わっていた。


なので編入組はいきなりハンデを背負うことになったわけであるが、ここで負けるわけにはいかなかったし既に春の校内模試では特進クラスの中でも上位にいたことが拍車をかけた。

特に化学は我々編入組のために1学期中間試験までは特進クラスは昨年終了してた範囲だったので化学の有方先生は勿論純正特進組が編入組に負けるはずがないと自負していた。(編入組に対する外様感はひしひしと感じていた)

ところが中間試験では100点が2人(純正組)、その次が1問ミスの俺だったため有方先生の激怒っぷりは半端なかった。

数学と世界史も2位だったので、早くも俺は注目株になってしまった。

俺としてはここで有頂天というか「何だ、特進と言ってもこんなもんか」と天狗になっていたのかもしれない。

実際に1年の時に数回あった校内模試では右肩上がりに順位を上げ、成績一覧表にも上から「特進」の文字が並ぶ中、俺の「準特進」の文字が上位に入るようになっていた。


それでもやはり特進、各科目では「こいつには敵わない」ライバルが少なからず存在した。

そのライバル達とは日曜も登校して教室や図書室で勉強したりしていた。(特進クラスの教室だけは365日エアコン稼働していた)


夏休みに入る頃には目標を国立大に定めた。

地元の九州大学は無理としても隣県の佐賀大学なら頑張れば・・・といういわゆる偏差値で選んだだけという典型的受験マニアになってしまったのだが。

それからは大手予備校の模試を受けまくった。

(進学校ではないため大手予備校模試は個人的に受験)


ここで模試の結果を見て愕然とした。

校内偏差値は75超が当たり前、進研模試でも60は超えていたのに大手予備校模試ともなると50を超えるのが精一杯だったのだ。

まさに井の中の蛙・・・

通ってた塾の学生を相手にしなければダメだと痛感し、学校の授業よりも塾での勉強に力を入れていた。

まぁ学校の授業は独学で予習復習すれば詰まることもなかったのもある。


夏休みを過ぎ2学期も終わる頃には校内でも10指に入るのが当たり前になり、進路指導部からの期待も薄々感じ始めていた。


ちなみに特進クラスに編入になり女子も少なからず在籍していたが、この頃にはもう女っ気なんてどうでもよく勉強勉強で必死だった。


冬にはようやく大手予備校模試でも手応えを掴めるようになり、3年に上がる頃には授業内容が一応受験範囲を網羅したということもありいよいよ受験生という自覚が芽生えてきた。


こうしていわゆる漫画やドラマにあるような学生生活には無縁のまま3年生になることに。

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