第9話 高校生2
当時のK高は修学旅行が選択制で
2年に上がる前の春休みに
カナダかニュージーランドの語学研修(2週間のホームステイ)
2年の夏休みに
韓国か長野
以上4つから選べた。
なおデザイン科は上記の語学研修か奈良
まぁ1学年900人弱ともなるとこうならざるを得ないのだろう。
なおカナダは枠が32人、ニュージーランドは16人となっておりカナダは2人ペアでのホームステイ、ニュージーランドは1人でのホームステイとなっている。
韓国・長野・奈良は修学旅行積立金(約10万)で行けるが語学研修はプラス40万が必要だった。
無理を承知で親に「ニュージーランドに行きたい」と言うと意外にも二つ返事で承諾された。
当然語学研修組はある程度の英語力が必要とされるわけで事前に英検を受け、認められた者のみの参加となった。
実際には英検3級に満たなくても行けたようだが・・・
語学研修組は放課後の補習(外国人講師を招聘しての英会話)があった。
初日に俺が代表で挨拶することになり、拙い英語のスピーチをしたのだが途中で記憶が飛びカンペをポケットから取り出すことも。
だがそのカンペを一目見てポケットにしまい、スピーチを続けたことが講師にとって好印象だったと後に先生から聞かされた。
そんなこんなで語学研修へ
福岡空港→シンガポール経由でニュージーランドのオークランドへ。
長旅だったが時差があまりないので時差ボケもなく、それぞれホストファミリーの元へ。
俺の担当ファミリーは普段からホストとして受け入れてるそうで1階が駐車場と留学生専用の部屋となっていた。
とても優しいパパ&ママ、人懐っこい男の子が2人。
辞書は手離せずの会話だったがすぐに打ち解けることができた。
昼間は大学で語学研修等があり2週間それぞれの家庭で過ごすことになる。
ファミリーは色々な所に連れていってくれ、ホームパーティーも開いて近所の方々とも交流があった。
カナダ組は2人だから不安はないがこちらは単独なので誰にも頼れない。むしろそれが良かったと思うくらい珍しく積極的になれた。
子供達はクリケットが大好きで、色々ルールを説明してくれるがあまりわからないまま、真似事で遊んだ。
家では算数の勉強に付き合ったがすぐに電卓を使いたがるので、何とか筆算できるように我慢強く教えてた記憶がある。
また家族ぐるみでラグビーが大好きで、テレビ観戦ではかなり盛り上がってた。
何とか日本料理をと思ったが、日本からは検疫の関係であまり食材は持っていけず、スーパーでもなかなか手に入らなかった。
苦心の末、味噌汁とコロッケという何ともアンバランスな料理を作った・・・
揚げ物をする習慣がなかったようで、フライパンに油をドボドボ入れてると「NO!」と注意もされた。
また夜には同じ研修組だけでレストランに繰り出し、うっかり遅くなった(と言っても夜10時頃)時には相当怒られた・・・
平和な国だと思ってたけどそれなりに治安が悪いらしい。そういや都心部でもその時間になると人影が少なく帰りのタクシー捕まえるのに苦労した。
ちなみにニュージーランドは世界一「差別のない国」という自負があるそうだ。
ニュージーランドの先住民はマオリ族がいるのだが、当初からある程度友好的であり、そうした民族資料館等の施設が散見された。
結局2週間滞在して日本に電話をしたのは1回きりで、最終日は日本に帰りたくなかった。
実際にその後ニュージーランドの大学に留学した学生もいたくらいだ。
そうして名残惜しいまま帰路。
またしてもシンガポールを経由して福岡空港に着いたのは朝だった。
ほとんどの家族が出迎えに来ていたがウチは出迎えなし・・・
仕方なく1人タクシーに乗り帰宅すると母親が「あら、今日帰国やったんね?」とあっけらかんとしていた。
日本語に飢えてたのでテレビを付けると・・・
全局「地下鉄サリン事件」一色だった。
そう、俺が福岡空港に着いた頃、あのテロが発生していたのである。
それからニュージーランドの余韻が吹き飛ぶくらい毎日毎日「サリン」「オウム」の報道ばかりでうんざりしたものだ。
ちなみに2年次から特進クラスへ編入になったので、帰国翌日から春休みの補習授業に合流するという鬼スケジュール・・・
この日から1年間で360日は学生服を来て学校、塾、模試の毎日を過ごすことになる。
さていよいよ特進クラスでの日々・・・
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