第7話 高校入学まで
卒業式を終え、高校入学まで何もすることがないなと思い始めた頃、通っていた塾からお知らせが届いた。
高校入学前に授業内容を先取りしよう!というもので、プリント配布自学自習形式で質問等あればその都度講師が対応するとのこと。
中学1年の時の落ちこぼれはもう嫌だなと思い、高校入学までの間は塾に通い詰めた。
(今では東大合格者も多数出す塾だが、当時は中学高校受験のみの塾であり、この年から大学受験にも手を広げた形になる。俺が通った先取り講座はその試金石だったのだろう)
特に数学を頑張った記憶がある。
わからない箇所は随時講師が教えてくれるという今までにはない勉強環境だったため、初めて「勉強って楽しい」と思いながら通っていた。
勿論教科書レベルというか、昔で言えば「白チャート」レベルのものであったと記憶しているが当時は「これ頑張れば高校では良いスタートが切れるのでは?」と勘違いするくらい楽しかった。
高校は博多駅から3駅離れた私立K高。
決めた理由は 「合格できるレベルかつ共学であること、校舎が新しく電車通学で駅から近い」という理由にならない理由であった。
近くにもいくつか私立高があり、そちらの方がもっと試験も楽だったので行きたかったが所謂ヤンキー高であり母親が許すはずもなかった。
まぁK高なら成績中位くらいなのではという見積りもあり、実際に合格したのは真ん中のコース(上から特進、準特進、普通)であった。
その高校は県立高校でいう学区が違うこともあり、同じ中学出身者は片手で数える程度、またあまり話したこともないので実質1人で友人もいない状況であると認識していた。
高校では部活もせずいわゆる「学校生活」を楽しもうという気持ちはあったが、それを打ち砕いたのが母親。
部活が嫌なら塾に通いなさい。
母親はどうしても俺を暇人にしたくなかったのであろう。
何かに没頭させて道を踏み外さないように考えていたのだと思う。
こうして高校入学前に塾を選定するにあたり、いくつかの塾から面談も受けたりした。
その時に「志望大学は?」「将来就きたい職は?」等と聞かれあまり答えられなかった。
数ヶ月前まで「高校行かずに調理師になる!」ってほざいていたので当然である。
とりあえず日本大学と福岡大学と答えた記憶があるが、日本で一番大きい大学と地元の大学というこれもまた理由にならない理由であった。
そうこうするうちに、近くにある少人数制の地元大学生(院生)が中心となって教えている塾があると聞いてそこに入ることになった。
これから3年、高校も塾も厳しくもあり充実したものになるとは当時は微塵も思っていなかった。
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