第5話 中学生5
3年生にもなると部活と勉強以外のことではある程度余裕が出てきて、どちらかと言うと目立ってた生徒の1人であったと思う。
今でもあるだろうが、クラスには学級委員(もしくは学級長)みたいなのがある。
学期毎に入れ替わるのだが、俺は1年~3年まで何故か毎年3学期に学級委員をやらされた。
まぁクラス単位ならそこまで負担はなかろうと思い気楽なものであった。
当時のアルバムや文集を見ても、手前味噌ながら中々の人気者(特に特徴はないのに)だったようだ。
ただ運動神経だけは相変わらず良くて、持久走は学年で1、2を争うほどであった。
こいつは行けると思ったのか、体育の先生が(本来なら陸上部の長距離種目である)市の中学駅伝大会にエントリー。
様々な部活からの寄せ集め集団で参加し、入賞とまでは行かなかったが中の上の成績だった。
他中学の陸上部をごぼう抜きした快感は今でも忘れていない。
そんな有頂天の状況だったからか、バレーの最後の大会では区大会すら優勝できずという屈辱も味わった。
中学部活における最初で最後挫折であった。
ただ、これを機に「もう部活はいいや」となりこれが後に影響を及ぼすことになるとは当時は思わなかった。
3年の夏を過ぎても相変わらず学業成績は向上しないままであった。
六反田先生からはスポーツ推薦なら私学に押し込むこともできると誘われたが断った。
もうバレーは燃え尽きたというか、部活としてやる気がなかった。
秋になり周囲は受験勉強モード。
俺はと言えば部活も卒業して今までになかった暇な放課後を遊びに没頭していた。
相変わらず塾は形式的に行っているだけの毎日を過ごし、追い込み最後の冬休みに突入することになる。
塾では当然最下層のクラスにいた。
講師陣から言えば大したことを教えなくても有り難く金を払ってくれる良いお客さんでもある。
ただそんな中、熱血講師が1人いた。
ある小テストで当然我々のクラスは出来が悪かった。
普段なら「頑張れよ」で終わる話だったがその講師は烈火の如く怒り
「お前ら悔しくないんか!小テストでも良いから100点取ってみろ!それまで帰さんぞ!」と・・・
実際その日は夜も遅くなるため皆そのまま帰宅することになるが後日同じ内容で再テストの予告はあった。
おそらく中学3年目の冬にして初めて勉強らしい勉強をした・・・
後日の再テストで俺をはじめ半数以上の生徒が100点を取れた(同じ内容だから当たり前と言えば当たり前なのだが)。
その時の講師の喜びようは大変なものであった。
そして俺は(大変大袈裟だが)初めて「勉強を頑張った結果」の素晴らしさを知った。
それからようやく勉強をやり始めたのだが時既に遅し、俺の学力で合格できる県立高校は1つもなく、私立高を2つ受けてようやく合格することになる。
そして話は一旦3年生秋に戻る。
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