第4話 中学生4

2年生になった。

相変わらず部活は厳しく、勉強の成績も相変わらずの低空飛行であった。


2年生の担任も変わらず安川先生。

この年で定年退職するとのことで、1年の時にある意味問題児だった俺を引き取ったと最後の日に聞かされた。


この頃になると周囲では所謂「付き合う」という人種が幾らか出てきた。

やはり運動部、それもバスケ部のモテ具合は大変なものであり、部活には追っかけみたいのもいるほどであった。

バレー部はまだ地味なイメージが付きまとい、部員からそういう話が出ることはなかった。

ただ上級生は幾らかあったようで、俺みたいなのでも上級生女子から時折呼ばれ色々と「情報」を提供することもあった。(勿論俺が目当てでないことはわかっていたが上級生女子、つまり年上のお姉さんという意識はこの頃芽生えたものである)


学校生活とは別に放課後部活終わりに遊ぶようなことは普通はないのだが、ある日「塾帰りにゲーセンやコンビニに寄って遊ぶ」という友人らの話を聞いて、学校外なら誰にも何も言われないという「勉強以外の目的」で塾に入ることに。(親には勿論勉強するという名目)


今では九州随一に成長した進学塾だが、当時の福岡市都心部には幾つかの塾が拮抗しており、勉強以外での派閥で互いのステイタスを認識するという滑稽な状況であった。

塾帰りにライバル塾の校舎に寄り道して嫌がらせ(駐輪場でちょっとした悪戯)をして解散するなんて日常茶飯事。

何かにつけて派閥を作りたがる年頃だったのだろうか、塾もそうだが住んでるエリアでもそうした関係が構築されていた。


そんな遊びをやりつつも部活だけは真面目にやりつづけ、秋の新人戦に入る前には副キャプテンを言い渡された。

正直人を引っ張るようなタイプではないと自認していたので固辞したが、キャプテンが引っ張る奴だから副はそうでない人間が適当という説得で折れた。

バレーのレベルは上級生の方が強かったと思っていたが、新人戦ではその上級生の成績を上回る区大会優勝→市大会準決勝敗退、あと一歩で県大会出場というところまでいったのだ。

俺らって強くね?みたいな慢心が身に付いた頃、何か自信がついたのだろうか、3年生になる前には見事に「俺以外の」バレー部同級生は全員「彼女いる」という状況になってしまった。

そんな状況を見てか、俺にも近寄ってくる女子がいなかったわけではないが、意固地になっていたこともあり「付き合うって何?」みたいに強がって、結局中学生で彼女という存在はいないまま終わることになる。


上級生も卒業し、いよいよ俺達の時代だと思いながら3年生になる。

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