第2話 中学生2
気付いたらベッドの上に仰向けになっており、数人の大人に取り囲まれていた。
いくつかの質問に痛みはないこと等を答えると安堵した様子で、すぐに救急車が来るとのこと。
初めての救急車、「これからどうなるのか」という不安しかなかった。
救急車に乗る前に自宅の電話番号を伝えていたので、診察を終えた時には母親が来ていた。
(このような時に父親は絶対に動かない。授業参観や部活の試合にも来たことがない。後述するが父親が俺のために動いたのは大学の合格発表の時だけである。)
母親は俺の心配をするどころか関係者に迷惑をかけて申し訳ないと平謝り。
そういう母親なのはわかっていたので、俺もようやくそこで「すいません」と呟くように謝った。
しばらくして博多警察署から私服警察官が来ての事情聴取とでも言うのだろうか、色々話を聞かされた。
その後「傷害で訴えるか?」と言われた時は衝撃で、そんなことになってるのかと・・・
その頃には意識もはっきりしていたので
「訴えるなんてとんでもない。むしろ良い思い出になった」というそれこそ「とんでもない」返答をしたためか、警察は引き上げた。
プロレス関係者からは「後日招待券を送るからね」と言われたが即座に母親が断ったため俺は不機嫌になってしまった。
(後日、プロレス団体からバスタオル等のグッズが届き、ボロボロになるまで使った記憶がある)
翌日一応病院に再検査に行くということになり、ようやく帰宅。
こうして中学生1日目は稀な経験をすることで終わった。
翌日母親と病院に行き、異常なしとの診断を経て登校。
中学生2日目にして早くも遅刻だなぁ・・・と思いつつ教室に入ると昼食前だったためか、ちょうど担任の安川先生も居て報告を済ませた。
自分の席に座ろうかとした時にいきなり安川先生が俺の鼻をつまみ、皆にこう言った。
「俺は体罰は嫌いだがお前らが悪さをするとこうするからな!」と・・・
皆びっくりした直後に一部からクスクスと笑い声が漏れ、それが教室中の大爆笑を招きそれでお開きとなった。
こうして俺はクラスで強烈な存在感を示すことになった。
昨日今日クラスメートになった見知らぬ人から次々に話しかけられ戸惑った記憶がある。
期せずしてこちらから溶け込むという手間が省けたなぁ・・・と幼心に思った。
周囲はもういくつかのグループができつつあったが、元来友人が多いとは言えなかった俺は特に当たり障りない、グループにも属さない(こんな鮮烈デビューをしたため属する必要もない)1人として、ようやく中学生生活をスタートさせることになった。
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