第16話 主討伐 1
今日は冒険者として、初めての仕事だ。
火の湿地の主を討伐する為に東のカイラより派遣された冒険者の数、およそ30人。昨日はツフロの周囲に泊まっていたらしい。
ギルドに所属する冒険者はギルドに従う義務があるようで、この討伐には絶対参加らしい。
なのでツフロで、生まれて初めて武器を買った。地球からはナイフを持ってきていたが、既に何人かを殺しているという魔物と戦うのならば、ちゃんとした武器を使うのが常識だろう。
武器はドスだ。
ヤクザかって?剣なんて持ったこともない日本人の俺が、いきなり武器を扱える訳がない。よって、比較的小さめで軽く、扱いやすいドスになった。なんで置いてあったのかは知らないが。
そして、集合。
「カイラより30人の冒険者が集まってくれた!『カイラの手』『カイラの耳』『赤い城壁』『瓶詰めの星』『猫の手も借りたい』『太陽の下へ』これらの勇敢なパーティと共に、ツフロを切り開けることを私は誇りに思う!ツフロの冒険者たちと合わせて53人!この討伐が終了すれば、君たちは南のツフロを成した者たちとして、歴史に名を刻むことになるだろう!」
ビードルが大声を出して盛り立てている。あの喋り方からすると、意外だな。それほどツフロを発展させたいのだろう。
しかし、パーティか。ツフロでは仕事が少ないからか、皆個人で活動していた。
それにしてもふざけた名前のパーティがあるが、大丈夫なのか?
「よぉ、タキジ。ちゃんと来たな」
「これが初めての仕事じゃないか?ちゃんと働けよ?」
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。なんせ冒険員パーティが2つも来てるからね」
「冒険員?冒険者と何が違うんだ?」
「王国が派遣してる冒険者の事だよ。各都市に5つ、頭、目、手、足、盾の名前が付いたパーティがあってそれぞれが名前の通りに動くんだ。王国直属だから実力も申し分ないよ」
「へぇ、それは楽しみだな」
同じ模様の鎧を纏っている、あの10人だな。
他にも全員が大盾を装備した屈強なパーティや軽装で何やら変な道具を持ったパーティなどがいる。
こうして、俺たちは主の討伐へと向かった。
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