第15話 ツフロ開拓地 7

ファイアサラマンダーの食事が終わり、ツフロへと戻る。

宿屋の一階で自分の食事を取ろうというわけだ。ドアを開けると、ダン達がいた。


「おい、タキジ。今まで何やってたんだ?心配したんだぞ」

「もしかして部屋に女でも連れ込んでたのか?」

「そんなんじゃないだろ。顔がやつれてる」


「あぁ、ちょっとしたショックでね...」


「魔力が無かったことか?」


「そうだよ。これじゃここで暮らしていくには不便すぎるよ」


「タキジのいた国ではどうやって生活してたの?」


「湯は魔道具じゃなくて何かを燃やして温めてたんだよ。魔法なんて一切なかったなぁ」


「へぇ、そりゃ不便そうだな。薪が勿体ない」


「でも、別の技術がすごく発達しててね、地下、地上にどデカイ建物作ったりしてるからなぁ」


「そ、そりゃ凄いな。一度行ってみたいぜ」


「...もう帰れないんだ。帰りたくてもね」


「そうなのか。すまなかった」


3人とも申し訳なさそうな顔をいているが。


「いや、まだあるぞ。俺はそうだな、遠くに来すぎて迷子になってると言った方がいいかな」


「なんだよ!心配させやがって!」

「ははは、迷子になるなんてタキジはバカだなぁ!」

「それならもう、この国で暮らせばいいよ」


「まぁ、魔力が無いのはどうしようもないんだけどな」




「...そういえば、魔力を持たない人間には精霊様がついてくれて、魔法を使えるようになるって聞いたことがあるぞ」

「ああ、そんなの噂だろ?精霊様なんて爺さん達の話でしか聞いたこと無いぞ」

「でも、一度は魔法使ってみたいね」


この世界、精霊なんてのもいるのか...


「ま、噂だから忘れてくれ。それよりも、今日はヘルダムが土鰐をつかまえて来たんだ。肉を食おうぜ」


そういえばここに来てから肉を食べておらず、魚か穀物だったので肉が恋しい。

そして土鰐というのは、ワニのことだろう。ワニじゃなかったら何だ。




そうして4人でワニ肉と野菜の炒め物を食べていると、外に大声を出して走り回っている人が見えた。



「討伐隊が到着したぞー!」



「よし、いくぞ。主を倒そう」

「へへっ、この時を待ってたんだよ」

「もう他の街のやつらに穀潰しなんて言わせないよ」


なんでこの3人は行く気満々なの?


「ほら、タキジも行くぞ。お前とファイアサラマンダーは良い仕事しそうだな」


「俺も行かなくちゃいけないのか?」


「当たり前だろ。冒険者にはギルドにある程度従わなきゃいけないんだが...これは必ずだろう」

「そう言えばこの前討伐隊が来たら冒険者は全員参加って言ってたなー」

「あ、思い出したけど今日は一日泊まって疲れを落として、明日に出撃じゃなかった?」


「そうだったな。と言うわけで覚悟決めておけよ、タキジ」









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