第8話 マイトサラマンダーとハイドプランツ(後編)
「さて、次はこっちの植物だな」
掘り起こそうとする。が、地面が固すぎて素手じゃ掘れない。
根を見たかったが諦めるしかないか。もっと気になることがあるしな。
「この匂いはなんだ...?」
この世界に来て初めてこの植物を見つけた時には、こんな匂いは無かったはず。
すると、これか。
植物の頂上には丸っこくてスカスカのピンク色をした物体が突き出している。
手でもぎ取って嗅いでみる。
「うげっ。直に嗅いじゃまずかったな」
アンモニア臭とか、そういった類の刺激臭ではないが、気分が悪くなる匂いであることは確実だ。他に似たものが無いことも、不安感を煽ってくる。
この匂いとスポンジのような構造...マイトサラマンダーは貧弱で、有尾目だったら遠くからここはわからない筈...
そうか、この匂いで惹きつけているのか。
でも、何のために?
寝ぐらを提供するだけなのか?食虫植物と同じなのか?ならこんなに集めたら、いくらマイトサラマンダーとはいえ、食料がすぐに無くなってしまう...
上の方は緑だし、外皮だけで光合成をして、下の方で獲物を食っているのか?
なかなかよく出来ているじゃないか。
マイトサラマンダー
地球の両生類有尾目と大差ない。雄の尾にのみ黄色い線が入る。6~10cm程の大きさで、ファイアサラマンダーや他の肉食動物への対抗手段は無いが、異常な程の繁殖力で種を存続させている。
ハイドプランツ
分厚い表皮、さらにスポンジ状の中身は水をたっぷり含んでいて燃えにくい。
マイトサラマンダーが通れるくらいの穴が多数開いていて、地面に近い方に集中している。中はアリの巣の様になっていて、細長く曲がりくねった通路が続いている。夕方になると、特殊な匂いを放ってマイトサラマンダー達に位置を知らせる。これは隠れ家を提供する代わりにマイトサラマンダー達のフンを肥料とする為だが、常にぎゅうぎゅう詰めになるので当然通気は悪く、汚いため奥の方のマイトサラマンダーは死ぬことがある。しかしこれも分解され、栄養となる。
栄養はゆっくりと植物内を下っていき、根へと蓄えられる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます