第6話 マイトサラマンダーとハイドプランツ(前編)

ぐっすり眠った俺はすぐに出発した。


所々に水たまりや池があり、凸凹した地形。

地面には様々な生き物がいて、新しい種を見つけるたびに興奮がある。

植物は相変わらず低い草とまばらに生える穴だらけのやつだけだ。



随分と歩き、太陽が真上に登った頃合いで昼食を取ることにした。

ちなみにファイアサラマンダーは後ろを付いてきながら、自分で食料を探している。


ここのところ魚しか食べてないんだよな。そろそろ肉が欲しくなってきた。

足元にはこれまたいつも通り小さいサンショウウオ達がわんさかいる。


「こいつらにも名前を付けておかないとな」


まぁそれは特徴をある程度把握してからだけどな。


...サンショウウオって食えるよな?

確か食べる地方があったはずだ。写真を見たことがあるが、ゲテモノ料理っぽくて食べたいとは思わなかったが。


しかし、背に腹は変えられないわけで。


結局池を探し、苦労して魚を捕るよりもそこら中にいて動きもとろいこいつらを食べることにした。




腹を裂けば山椒の匂いがすると魯山人が言っていたが、今回食べたサンショウウオは小さすぎて匂いを嗅ぐことはできなかった。

もちろんファイアサラマンダーに炙ってもらった。


味は淡白でなかなか美味しかったが、皮には変な臭みがこびりついていた。




昼食を終えた俺は、まっすぐにひたすら歩き続けた。それでもまだ人里は見えず、仕方なく乾燥している地面にテントを張り、寝ることにした。


準備をしている間、ふと気になったことがある。

それは夜にもサンショウウオを食べようかと思い、地面を見ると、2匹が並んで歩いていた。


それだけならどうという事は無いのだが、ふと別の方向へ目をやると、また数匹のサンショウウオがまっすぐ同じ方向へ進んでいた。


まるで何かを目指しているかのように。


設営を終えた俺は、彼らを尾けることにした。

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