一二八番目の決断

長い夢を見たと思っても、実際には短い時間しか経過しない。この脳の仕組みを応用した、後出しARメガネが一般化する。「○○しておけば!」と思った瞬間に起動すると、ARメガネを使って関連する経験を一瞬で積んで、ふたたび現実に戻って続きの生活を続ける。


主人公は、他人に答えを教えてもらったり、助けてもらったりで自ら意思決定をしたことがない。社会人になってもその調子で、決断ができないために出世ができなかった。ある日、自分が提案した企画を、(1) 自分がリードして実行するか、(2) 先輩の企画についていくだけにするかの決断を迫られる。この日から、ARメガネには意思決定トレーニングが含まれていて、主人公のARトレーニングが自動的にスタートする。


トレーニングが進むが主人公は意思決定をしたくないので、躊躇する。するとAR内から、さらにARが起動し別のトレーニングが始まった。こうやって入れ子の意思決定トレーニングが続けることで、主人公はひたすら決定を回避し続けた。


だが127階層目の決定シーンで、入れ子の限界に達しARが起動しない。カスタードシュークリームか、生クリームシュークリームにするかの二択だった。どっちを選んでも大したことがないと悟った主人公は、カスタードを選ぶ。ひとつ上の階層では、おやつを食べるか我慢するかで、食べる方を選ぶ。そのようにして、どんどん元の階層に戻っていく。そして最後、決定の経験を積んだ主人子は、自分の企画を自分がリードする、を選択する。


参考文献

藍銅ツバメ「家庭内枕返し」

https://school.genron.co.jp/works/sf/2019/students/mimisen3434/3597/

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