看護師のゼブラ

研究施設がテロリストに襲われ、準備中のウィルスベクターが外部に散乱する。その結果、体の一部だけ別の遺伝的特性を持った人々(モザイク)が表れる。政府は彼らの医療や社会的地位をケアしたが、特性によっては社会的に差別されることがあった。


主人公は緑色を感知する錐体細胞だらけになってしまい、世界が緑色に見えている。電気工事士の仕事ができなくなり、好きなテレビゲームもできなくなった患者は、ほとんど引きこもっている。ときどきモザイク用の医療施設に通う程度だ。


施設では、いつも対応してくれる看護師がいる。主人公に無理をさせないように励ましてくれる。ある日、主人公がいつもよりしつこくグズグズと愚痴り、看護師に対して「俺の気持ちは分からない!これだけ不幸なんだから、これ以上、辛い思いをしたくない」と激しく言う。


看護師は自分の写真を、色相を明暗で表す特別なモニターで表示して、主人公に見せる。赤は明るい色、黄色は中くらい、緑は暗い色。看護師の顔や腕は、シマウマのように明暗が入り乱れていた。それは、肌の色が、赤、黄、緑のまだらになっていることを意味する。看護師は「僕は不幸ですが、ここに居ればそれほど苦しみません。特にあなたに奇異な目で見られないので仕事しやすかったです。ですが、あなたは本当に何も見えてないだけなのですね」


主人公はリモートワークの仕事を探し始める。


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参考文献

佐藤究「ジェリーウォーカー」

高野史緒「浜辺の歌」

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