第7話

いままで、意識しなかったところへ意識してしまうようになった。

例えば、自分の体とか。


僕は、久しぶりに鏡を購入し、自分のことを見た。これが間違いだとも知らずに。



僕の体には覚えのない傷があったのだ。兄から暴力を振るわれた記憶はあったから、その時の傷だと思っていた。しかし、どうも辻褄が合わないのだ。傷を体に付けられた瞬間の記憶が無いのだ。



数日、思い出そうとしたがどうしてもわからなかった。



そして、僕は自身の記憶がおかしいと思った。どうして覚えていないのだろうか。どうして思い出せないのだろうか。その時、アイツはこういったのだ。


「全てが知りたいのか」


僕はなぜ自分が知らない事をコイツが、あたかも真実を知っているかのように話し、僕に声をかけたのか不思議で仕方なかった。


そして、僕は一言こういってしまったのだ。




『僕の記憶の全てが知りたい。』

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