第5話

数時間後、僕は目が覚めた。急に意識を手放してしまったということは、それほど僕にとってなにか衝撃的なことだったのだろう。


「意識が戻ったみたいだな」

『ずっとそばにいてくれたのか』

「あぁ」


コイツは僕にとって味方なのだろうか。僕のことを心配してくれているのかもしれない。だか、本当に理由が分からない。何故ここまで優しくしてくれるのか、どうして護ってくれたのか。コイツのことを僕は知りたいと思った。



コイツとの生活を送っていくうちに、いくつかわかったことがある。僕が寂しいと思えば、

『お前はひとりじゃない。俺がいる』

と囁き、僕が怖い目に合いそうな時は必ず忠告してくれる。僕のことを大切に思ってくれている。忠告をしてくれる度に、そう強く思うようになった。


初めは疑っていたが、兄の事件から僕はコイツのことを信頼するようになっていった。

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