第4話

『なぜ、兄のことを知っていた』

「お前のことはなんでも知ってる」

『僕はあなたのこと何にも知らないのに』


やっぱりなんか違和感を感じる。

なぜアイツは僕のことについて知っているのか。返事は曖昧であり、理由が全くもって分からなかった。どこで会ったのか一生懸命思い出そうとしたが、無駄だった。そんな過去がないのに思い出せるはずはなかった。


「忠告してやったのにいつもお前は無視するよな」


急にアイツがそういった。‘いつも’とはなんの事だ?僕はさっき忠告されたのが初めてなのに。僕は記憶喪失にでもなったのか?いや、そんなはずは無い。今まで独りだったのに、誰に忠告される時があったんだ。おかしいのでは僕ではなくアイツなのだ。そう思っていた。



「お前はほんとに俺がいなきゃ、なんもできないよな」



その言葉を聞いた途端、僕は激しい頭痛に襲われた。なにかを忘れているような感覚に襲われ、そして誰かに殴られたかのように意識を手放した。


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