第三十一章…「その男の先にあるモノは…。」


『用があるなら、出てきたらどうだ? いつまで経っても、お前にとっての好機が訪れる事はないぞ? そこに居る事はわかっているからな』

 十夜を探し、悪魔が進む方向へと進んでみたが…なるほど…、悪魔は魔力に引き寄せられる…か。

 探す…なんて言葉が当てはまるかどうかすら怪しくなる程…そいつを見つけるのは容易だった。

 悪魔の進行方向へ、ただ直線的に進んだだけだったが、それは目に見えて違和感のある場所…、人間界でなら、そこには閑静な住宅街が広がっていたはずの場所だ。

 学校のすぐ裏手に山があるんだが…その丁度反対側…それを少し進んだ先…。

 本来あったはずの住宅街は、その姿を無くして、辺り一帯が更地と化している。

 その中央に、そいつはいた。

 コートを着て、そのフードを深々と被った男…。


---[01]---


 その周辺には灰になって消えていく途中の悪魔の姿もある。

 あからさまというか…、薄々ながら出来過ぎた足取りに嫌な予感はしていたが、予感が予感で終わる事はなかったらしい。

「・・・」

 更地とそうでない場所の境目…、その物陰に隠れ、私はその様子を伺っていたが、男はこちらに視線を向ける事はない…。

 距離としてはかなりのモノだ…、にもかかわらず、その男の言葉は嫌という程にはっきりとこの耳に届いた。

 普通に会話をするには、叫び声を出さない限り声が届くはずもない距離に加えて、私に語り掛けるような言葉…、タイミングを考えても自分の存在に気付かれている…と思っていいだろう。


---[02]---


 おかしくはないんだが…、正直…はいそうですか…と出て行く気にはなれない…。

 なんせ一回やられてる身だからな…、当然、慎重を重ねる方向に行く。

 男の声がした瞬間、私の手は使い慣れた武器を強く握っていた。

 反射的にとは言え、体が反応したのだから、それを無下にして勝手気ままに進む事も出来ないだろう。

 私と言っても…、思考の大半は俺だ…。

 頭で考えているのは、経験を積んだとはいえ、まだまだ半人前な男の思考…、一方で反射的に動くのは、俺ではなく私…フェリスが積み上げ、体に刻み込んできた経験という武器の反応…。

 戦闘面において、私は自分の考えよりもフェリスの経験を信じる。

『それなりに待ったつもりだが…、出てくるつもりはないか?』

 男は何かの作業中…。


---[03]---


 その正面には、妙な光に包まれながら宙に浮く子供の姿がある…、遠目だからはっきりと断定する事は出来ないけど、その服装とか状況等を踏まえれば間違いない十夜だ。

 後はどうやってあの子を助けるか…だけど…。

 今までの過程を見れば、あの男が十夜に対して、合法的な事をしているとは思えない…、事態は急を要する。

 ここで、あ~だこ~だと考えるよりも即行動を決め込んだいいかね、結局の所…。

「意外と引っ込み思案か?」

「…ッ!?」

 さっきまでなぜか聞こえ、一字一句理解できた言葉が、今度は耳元で囁かれる。

 ゾクッ!と悪寒が走り、反射的に握っていた剣を引き抜くと、それを全力で声のした方向へと振り抜く。


---[04]---


 その方向に視線を向ければ、何故か実体の有る人の姿をした影へ横一閃が入り、真っ二つになっていた。

「そうであれ…だ。男の子に生まれたなら、ウダウダしていないでシャキシャキ動け」

 その影が…、言葉を発した。

 見ての通り人ではない。

 真っ二つになったその体は、一度弾けるように霧散し、瞬く間に元の姿へと戻る。

 その姿は、あの男の姿そのものだ。

 ドンッ!と、予想が過ぎる即復活に反応の遅れた私は、その頬に影の拳をもろに受けて叩き飛ばされる。

 自分の身を隠していた建物のブロック塀を破壊しながら、私の体は更地を転がった。


---[05]---


「ペッ…」

 口の中でも切ったのか、多少の血の味が唾液に混じり…、ソレを立ち上がり様に吐き捨てる。

「見た目こそ可憐な女性なれど、その体は武を極めているようだ。普通の人間の度合ではあるが…、殺すつもりで殴ったのだがな」

 影がこちらに歩いてくる中、再び影からではない声が私に届く。

「…であれば…、その引っ込み思案は中身の方か。器と中身の相違…、時間の流れは確かに残酷らしい…。お前の存在を見ていると…、友の言葉を思い出すよ」

「思い出に浸かりたいなら、勝手にどうぞ…。でもその前に…その子を返してくれないかしら?」

「ああいいぞ」

「・・・」


---[06]---


 この状況でこちらの要件に首を縦に振る…と?

 自分で拉致っておいて…、どういう思考をしているんだ…。

「安心しろ。この子を殺すつもりはない」

「どの口が…」

「ああ確かに、お前の言いたい事はよくわかる。死んでいなけらばいいという話ではない…そう言いたいのだろう? 当然だな。俺がお前と同じ立場なら、同じ事を言うし考える」

「だったらッ」

「だからと言って、俺は自分の役目をおろそかにするつもりはない」

 はなから交渉の余地なんて無い…、人攫いまでやった奴が生半可な会話で、その考えを改めるなんて、そんな事あり得ないから…。


---[07]---


「お互いに目的があり、それはどうあっても交わる事のない道だ。俺が何を言おうと、どちらかの道は消されるが運命…」

 男がこちらを向く。

「お前は、自分が思っている以上に、大きな渦の中にいる。わかっているか?」

「何の話だかさっぱりね」

「自覚無し…か。まぁソレも当然だな。事が済めば、そのほとんどを放置される。自覚を持てという方がどうかしている。そういう奴らを何人も見てきた。目的のため、奴らにとっての救いを奪ってきた」

 何の話だ?

 ・・・いや、何となくだけど、その会話のニュアンス的なモノは理解できる気がする…、私自身わかっている気がする…。

 私という存在…、器と中身の相違…。


---[08]---


「あなたは、私がどういう存在なのか…知っているの?」

 私と俺の関係、常識を逸脱したはぐれ者の事をわかっていると?

「俺は、お前の名前も知らない。俺に分るのは、その人としての形の歪さだけだ。同じ色をしていても、違うモノは違う。使う材料が違えば、どんなに同じ工程を踏んで作られた紙でも別のモノになる様に、その成り立ちが…形が違うモノが混ざっているお前の歪さは、一目でわかるさ」

 私にはわからない何かが、こいつには見えているという事?

 口から出まかせを言っている可能性はあるけど、かといって戯言と言って切り捨てるには…、見透かされているかのような鋭さが…その言葉には混じっていた。

「さて…、それでお前はどうする? このまま話をしていてもいいが…、何なら、お前の質問に嘘偽りなく答えてやるぞ。どうして自分がそんな事になっているのか…知りたくはないか? 天人が器になっているのだから、その中身は人間だろ? あの時、一緒にいた青年といった所か? 色が似ていたから、俺はそうだと思うが」


---[09]---


 知ったような口を…。

 心惹かれる言葉を並べられているのは事実…、でも…はいそうですか…と、これ以上子供誘拐犯と仲良く話をするつもりはない。

 むしろ話過ぎたぐらいだ。

 何が目的かは知らないけど、私がここまで来ても動揺を見せないその気概、余程自分の実力に自身があるのか…、目的はもう達成されているのか…。

 前者…かな。

 目の前の相手は強い…、学校での対峙で、それはわかってる…、だからこそ、隠れてコソコソするような事もしていない。

 ここが悪魔界…て特殊な場所とはいえ、ここまで堂々とした場所を用意する訳もないだろう。

「当然とはいえ、お前がこちらの予定が終わるまで待つ気はないようだな」


---[10]---


「・・・」

 私は相手の言葉に返す事はしない…、でも、そんな私の考えを見透かすように、男は鼻で笑った。

「いいだろう。では始めるとしよう。この状態を待っていたのだ」

 男が、宙に浮く十夜の胸に手を当てる。

「お前は、この子が他の夜人達に何と呼ばれているか…知っているか?」

 男がそう言うと、意識の無い十夜の顔に苦痛の色があらわれる。

 今までは十夜に、宙に浮く以外で、はっきりとした危害を加えられている様子がなかったから、下手に動く事をしなかったけど…、今度のソレは明らかに様子がおかしいモノだった。

 まだ小さい体を覆うように、その体を這いながら溢れた黒い靄にも見える魔力、それが男の手へと集まっていく。


---[11]---


 それに比例するかのように、言葉の無い悲鳴が、表情に乗って発せられた。

「…ッ!」

 男の言葉を答える事無く、そもそも聞く事もせず、その瞬間、私は男目掛けて、突撃し、その剣を振りかぶっていた。

「忌み子…」

 男の手が、何かを握る様にその魔力を掴む。

 そして、男目掛けて振るわれた私の剣目掛け、その掴んだモノを振る。

 ガキイィーンッ!…それは金属同士のぶつかり合う音…、男はさっきまで何も持っていなかった…、持っていなかったはずなのに、私の剣は止められ、その止めたのは…何処から現れたか、真っ黒で…魔力を纏う刀だった。

「生まれるべきではなかった子供…、これまでも…そしてこれからも…」

「…ッ!?」


---[12]---


 鍔迫り合いになる中、その結末は私の力負けに終わり、押し込まれた私は、後ろへと押しのけられる。

「お前達天人界の…、死んだ国王の命令だ。その身に闇を宿す子供が、夜人の中に生まれたら、その命を刈り取るべし…と」

「そんな話、私は知らないわ。というか、あなた意外とおしゃべりなのね」

「話をする事自体は嫌いじゃない。必要な事であれば、尚更だ」

「必要…ね。胸糞悪い話だとは思うけど、そもそも本当かどうか…信じる根拠も何も無いじゃない」

「確かに…、だから俺の独り言と思ってくれて構わん。どの道、お前の終着点までには到底解決する事のない話だ」

「どういう意味?」

 終着点?…、死とかそういう事か?


---[13]---


「あ~、勘違いするな。命の終わりの話じゃない。俺が言っているのは、目的…の話だ」

「なおさらわからないわ。あなたが何を言いたいのか」

「ん~…、俺もどこから話したものか…少々混乱があるのだが…そうだな…、個としての目的と、全体の行く末とでは、話の終わりに差がある…という事だ。お前個人の問題の解決が成ったとしても、この問題解決は道半ば…」

「あなたはさっき、私が大きな渦の中にいると言ったわね。私は知らず知らずのうちに、問題事に巻き込まれている…と。あなたはその解決のためにその子を誘拐したの?」

「そう。つまり言いたい事はそういう事だ」

「じゃあ、あなたから聞き出さなきゃいけない事が増えたって事ね」

 剣を握る手に力が入る。


---[14]---


 どういった情報を持っているかは知らないけど、私という存在の事とか、こちらが持ちあわせていない情報を知っているような言い方もしていたし、十夜を助けるだけでは終わらなそうだ。

 もちろん、あの子を助けるのが最優先だけど…。

「もう少し待ってくれれば、知りたい事を全て話すのだが…」

「待たない」

 子供の安全第一は必須だとも。

「そんな信憑性に欠ける話と、子供を天秤にかける訳ないだろ」

「そうだな。未来を担う子供…そう、夢…そのモノだ」

 男が刀を構える。

 どういう理屈か知らないけど、その強度は折り紙付きだ。

 こちらの攻撃を防いだくせに、刃こぼれ1つしていない。


---[15]---


「この刀が気になるか?」

「全然ッ!」

 男に向かって突っ込む。

 私の力に小細工をする能力なんて無い。

 まずは当たって砕けろだ…、いや、砕けちゃいけない…か。

 再び、まるで力合わせでもするかのように、男は私の攻撃を、その刀で防いで見せる。

 その一瞬の膠着の隙、男の横に、影が実体を持って現れた。

 相手は1人であって1人ではない…、私は剣で受け止めている相手の刀の軌道を逸らして掃いながら、後ろへと下がる。

 そんな私を、追うように、影が先頭を走ってその後ろに男が立つ。

 幸いと言えるのは、その影に得物が無い事か…。


---[16]---


 足に力を入れ、その影を斬り伏せ、すぐ後ろを来ていた男へ剣を振った。

 刀の強度もさることながら、男自体強い…。

「…ッ!?」

 そして、背中から伝わってくる殺気。

 後ろに一瞬だけ意識を持って行かれ、その隙に押し込まれつつも、何とか踏ん張り、右手で後ろから迫る攻撃を防ぐ…。

 今…竜戻りだったかでイクシアの左手のようになっている右手が、影の攻撃を防いで見せるが、その腕に伝わってくる攻撃は金槌で殴られているかのような衝撃だ。

 両者の攻撃は防げた…と思った瞬間、右腕に掛かっていた重さが消え、私の正面に拳を振りかぶった影が現れる。

「マジッ!?」

 こちらが何かをする前に、再び頬へその拳がめり込んだ。


---[17]---


 叩き飛ばされた私の体は何度も地面に打ち付けられる。

 魔力で防御力を上げているとはいえ、その衝撃までは消せていない。

 止まれ止まれ…と思っても、こちらの意に反して、体は地面を滑る。

「…クッ…」

 そんな中、手で体を上へと押し上げて、体を浮かし、姿勢を整える…が、体勢もままならぬ状態でもなお、止まらぬ相手の追撃を剣で防ぎ、ソレを斬る。

 その直後、再び拳を振りかぶった状態で姿が元に戻った影…。

 また攻撃を喰らいそうになったその刹那、私の左腕は腰へと伸び、愛用する短剣を掴むと、引き抜き様に伸びてくる腕目掛けて振り上げる。

 切れ味がそこまで高くないからこそ、短剣は相手の手を弾き、その姿勢を崩した。

 真っ二つにしたとしても、すぐ思いのままの体勢の影が出来上がる…が、その瞬間だけは違い、動きの鈍った相手を蹴り飛ばす。


---[18]---


 そして、追撃をしてきていなかった男へと私は迫った。

 ガキンガキンッと響く金属音、重量的にもこちらの得物が勝る中、相手はこちらの攻撃を刀で…しかも片手で防いでいく。

「体は武を極めていても、中身は違うと思ったのだが…、なかなかどうして面白いな、お前は」

「こっちは全然面白くないってのッ!」

「まぁそう言うな。これでも褒めているつもりだ」

「なら、余計皮肉にしか聞こえないわよッ!」

 こちらの振るった剣を受け止め、その剣を擦る様に刀の刃を走らせて、私の首を相手は狙う。

 迫る刃から逃げるように体をのけぞらせ、刀は空を斬る。

 体勢の崩れかけた状態で、尻尾で地面を叩き、強引に整えながら、体をよじり回転しながら、男目掛けて剣を振り上げる…が、あえなく剣で弾かれて届く事はなかった。


---[19]---


「ふぅ…」

 あの鬼も強かったけど…、この男も大概だな…、全く。

 でも、人間界での戦いと違って、こっちは悪魔界、天人界のように魔力が潤沢に存在する世界…、その点において使うのを渋る理由は一切ない。

 むしろ…、肌に感じる魔力量で言えば、天人界よりも多いんじゃないかとすら思う程だ。

 だからこそ攻撃を受けても、ダメージは最小限に抑えられている。

 抑えられているからといって、それは確かに有利ではあるが、決定打にはならない。

 なら…。

「…行くッ」

 全身に魔力を張り巡らせろ。


---[20]---


 必要以上の魔力はむしろ余計な体力の消耗を招く…、必要な力を…、適正な量を…、この体に適した最適解を…。

 右手の竜戻りの影響か…、いつもより体に力が入る…、より軽く、より強く…。

 シュッ…と影の拳が迫るけど、見てから避ける事も容易な程、体が軽く感じる。

 その胴体を真っ二つに斬り伏せ、その勢いを利用して一回転…、影が再び形を作りだした時には、再びこの視界に相手を捉えていた。

 どういう理屈か、こいつを倒し続けてもキリはない…、程度はまだわからないけど、その体に強すぎる攻撃を受けて体が崩れれば次の体に作り直される。

 回転した勢いを殺す事なく、さらに勢いを付けて尻尾での強烈な攻撃を喰らわす…、影が吹き飛んでいった先で弾けてこちらに向かって突っ込んでくる姿勢で体を作り直し、それを待つことなく男が攻めてくるが…、さらに勢いを付けた剣の一振りを斬り通す。


---[21]---


 男の体を打ち返し、飛んでいく男を追いかける。

 飛び込んで一気に距離を詰め、男が着地した所へ、剣を振り下ろす。

 男は横に転がって避けるが、相手を追うように、私は剣を振った。

「…お前自身、それなりに鍛錬を積んだと見える…」

 男と私の間に割って入る様に、影が割り込み、剣は男ではなく影を斬る。

 影自体の硬度が高くなったか、男もろとも…とはいかない…、まるで木に向かって力一杯振った斧が気に突き刺さって止まったような中途半端感だ。

 完全には斬っていない…が、影は弾け、その魔力の中を通り抜けるように男は、勢いよく私へと刀を突き出す。

「…くッ!?」

 刀の切っ先が狙ったのは私の目、それを受ければ怪我では済まず、咄嗟に右腕で庇う様な形をとるけど、完全に止める事は出来ず、狙いが逸れたソレは、目の上、おでこの横を斬っていく。


---[22]---


 体も横へと動かしていたから、男とすれ違うような形になり、左手で持った剣を力一杯男に向かって振るう…が、再び人の形となった影が、その剣を弾き返す。

 こちらよりも早く、男が体勢を立て直し…、刀を振るう。

 そして、男と同じ動きを見せる影の手には、先ほどまで素手での攻撃だったにも関わらず、男が持つ刀と似た刀を持っていた。

「…ッ!?」

 交差し、私を襲う一閃。

 右手で防ぐも、その防御力でもって腕に傷こそ負わなかったものの、防いだ瞬間に走る衝撃が運ぶ痛みは強烈なモノだった。

「・・・つぅ…」

 ジンジンと痛みは続き、痺れも残る。


---[23]---


 何か変わる訳でもないが、さっさとその症状が抜けろ…と、反射的に手を振ってしまった。

「中身であるお前は、俺の見立てではお前と一緒にいた青年で、足が不自由らしいが…、お前が望んだモノはソレか?」

「何?…」

「何を望み、その器に入る事になったのか…、ソレに興味がある」

「そんな事を知っても、何も面白い事はないわ」

「そうだろうな。連中はそういうモノだ」

 男の刀が私の額の横を斬り…、その血が切っ先に残っているが、男はソレを見せるように切っ先を私に向ける。

 その時…、まるで蒸発するように、その血は消えた。

「…ッ!?」


---[24]---


 瞬間…、体の強化が弱まるような感覚が私を襲う。

 誤差の範囲と言ってもいい程の変化だった…、100%が97%に落ちるとか、その程度の変化…。

 その誤差の範囲にも関わらず、一瞬の立ち眩みに襲われる。

「その魔力、もう少し貰うとしよう」

 魔力を貰う?

 立ち眩みで生じた一瞬の隙に付け入る様に、再び、男の刃が私を襲った。


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