第二章…「その混ざり始める別色は。」
「ぶあっくしょんッ!」
お互いに自己紹介を済ませた一向。
夜人を名乗る信廉の話を聞き、これからその代表の1人の家に向かおうとした矢先、盛大にくしゃみが炸裂する。
もちろん、私ではない。
「イク、大丈夫ですか?」
「ん…んん…」
フィアに渡された手ぬぐいで、イクはもぞもぞと鼻付近を押さえる。
「なんかさ。寒くない? というか寒い」
現実は真冬、そしてこの場所も同じ冬、こちらには四季があるけど、向こうの夢の世界には四季は無い。
---[01]---
年中一定で春先程度だ。
それと比べたら、寒さに体を震わせるのは仕方ないだろう。
「こちらの世界は、今はそういう季節なのよ。寒いのが当然の時期」
「ん…、よく知ってるな…」
「こっちに来るからって事で勉強したから」
…そんな事はしていない。
ここに来て、肌に感じる温度が、現実と同じという事が分かった。
だからこそ同じ知識で話しているだけだ。
「じゃあ、なんでフェリは平気な顔をしてんだ?」
「勉強したからね。いつもより着る服を増やしたのよ、念のために」
---[02]---
そう言って私は襟を少しだけ引っ張って、中に数枚服を着こんでいる事を見せる。
…実際は、もしかしたら…なんて可能性で本当にそんな場所に来たりしたら、きっと寒いだろうと思い、念の為に着こんでおいただけ、あくまで保険だ。
「申し訳ありません。気が利きませんでした。すぐに温かい場所まで行けるので、その間、これを」
私とイクシアのやり取りを見ていた信廉は部下のスーツの人達に指示を出し、何人かがスーツの上を脱ぐと、それを渡してくる。
「どうも」
私はそれを受け取って、イクシアの肩にかけ、フィア達にもそれを渡した。
「あと、良ければこれも。温まりますよ」
そう言って次に手渡してきたのは、ポケットに入れる小さい使い捨てカイロだ。
「ありがと」
---[03]---
どこにでも売っているメジャーなヤツ。
俺はあまり使った事はないけど、それを受け取った私は軽く胸が躍った。
驚き、感激、興奮、感動、その辺の何かの気持ち。
そして、一週回ったソレは、混乱になり始める。
「イク、寒いならこれ持って」
その混乱は表に出ない様に、私は受け取ったカイロを、半ば押し付ける形で手渡した。
外人が初めて見るこの国のモノに対して驚くシーンとかを、テレビで見る事がよくあるけど、その時の彼ら彼女らの気持ちを味わっているような感じにもなる。
知っているのに知らない…そんな普通じゃ味わえないような感覚、混乱しない訳がないだろう。
「フェリ君、落ち着いて。ここで驚いていたら、後が大変だ」
---[04]---
エルンが肩を優しく叩く。
確かに、それはそうなんだけど。
「それじゃあ信廉君、手間をかけてすまないねぇ。そろそろ行こう。待っていたら、それこそ日が暮れてしまう」
「はい。では行きましょう」
長い長い階段を降りる最中、後ろからイクシアやフィアのカイロに対して、興味津々な声がいつまでも耳に届き続けた。
微笑ましくもあり、そんなに驚く事か…という困惑もある。
魔力を使った熱の保持なのか、発熱はどういう術式で行われているのか…、見当違いな推測が飛んでいるのが、外人とは違うという表れ、夢の世界特有のものだ。
---[05]---
混乱の次はどうやって温かくなるのかという説明をしたい…、普段教えてもらう立場の私が、逆に彼女らに教える立場になる…、そんな優越感に浸りたい気持ちを押さえこむ。
勉強したから…と取り繕った嘘、それを説明してしまったら嘘をついた意味がない。
まぁ向こうにその辺の事が乗っている本でもあれば話は別だけど、ざっと見た感じ、あの本の山の中でそんな情報の書かれた本を見た覚えはなかった。
だからこそ、下手に話せない。
そして長い階段を降りた先には、普通の風景。
道路を進んだ数十メートル先は海で、海沿いの道路には車が行きかう。
並ぶ建物達は、特徴的なもののない素朴な作り、私…いや俺からしてみればここに来た頃の記憶なんてほとんどないけど、その町並みは慣れ親しんだ典型的な形だ。
---[06]---
いちご狩りの看板が並んでいるのにも、どこか安心感みたいなものを感じる。
きっとそれは、私としての感情ではなく、俺としての感情だが…。
それ以外には、お食事処とか、スイーツ自慢か苺系の品の並ぶ店の看板もある。
向こうの世界では全く…というか存在すらしないものの数々。
あちこち視線を向けているイクシア達も、その初めて見るものに目を持っていかれるが、その好奇心を全てかっさらうかのように、私達の前に、黒塗りの高級車…だと思うモノが止まり、視線が持っていかれる。
俺は、車は詳しくないけど、きっと高い車だ。
何より、その車を中心に並ぶスーツ姿の連中が、良い意味か悪い意味か、マッチし過ぎて怖い。
その光景を写真に撮って、知り合いに…映画の撮影してた…なんてコメントと共にメールを送ってしまえば、それを信じ切ってしまう程に様になっている。
---[07]---
「いかつい面々ですいません。この人らの上司というか、主人が拳で語るタイプの人間なもので」
「あ、いえ、大丈夫」
顔に出てたかな…。
「では行きましょう」
各々、持ってきている武器…主に私やイクシアの持つ長物を別の車に預け、高そうな車へと乗り込んでいく。
後部座席のスペースが広い…。
まるでどこかのホテルの一室のような内装、そこでワインとか出てきたら、まさに金持ちの嗜みみたいな状態になる。
「この窮屈な部屋はなんだ?」
まぁ知っている俺ならともかく、知らないイクシア達からしてみれば、未知の箱に押し込まれた…と取る事もあるか。
---[08]---
「これは車です。移動を手助けするモノですよ」
「ふ~ん、船みたいなものか」
「あ、はい、そうですね。そう思ってもらって問題ないです」
信廉がドライバーに出発するように指示を出し、車が動き出す。
その動き出しに、イクシア達が驚いていたのは、やはりと言えばいいか、予想を裏切られなかった。
窓越しに流れゆく町並みに釘付けになる彼女達を横目に、私は信廉の方を見る。
ほんと、俺としては別に特別とは思わない、ごく普通の作業員みたいな格好だ。
その辺の街を歩いていたとしても、気にも止めない姿。
私からしたら、その姿は異質…親しみの無い姿、向こうで彼を見たらその変わった雰囲気に目を引かれるだろう。
場所に溶け込んでいるか…という問題もあるだろうけど、それを含め、ここは向こうとは違う場所だという事が分かる。
---[09]---
「リータさんは、外の様子が気にならないのですか?」
「え? あ、いや」
見られている事に気付いた信廉が、こちらに視線を向けた。
気にならないと言えば嘘になる。
その光景1つ1つを見て行って、見知ったモノが目に入れば入るだけ、こうだ…と思っていた事にヒビが入る気がするから、それが怖い。
だから外をあまり見ないというのが、1つの理由だ。
信廉を見ていたのは、俺としての違和感がどこかにないかと探してしまったから。
それなら外を見ても同じだろう…と言えるけど違う。
人の見た目が合わさっても、この人個人の問題かもしれない…と言える、逃げ道を作れる。
---[10]---
でも外の風景は、俺の記憶と合致すればするだけ、世界が合わさっていく、逃げ道が立たれていく。
我ながら見苦しい。
往生際が悪いとも言える。
「夜人…だったかしら…。その夜人というのはなんなの?」
往生際が悪くてもいい。
この場所は現実じゃないと否定する材料が欲しかった。
話を逸らす意味でも聞いてみる。
「夜人…というのは…そうですね。昔…何百年も昔に魔を討つために「魔になった者」達の事です」
「魔になった?」
「毒を持って毒を制した…といった所ですかね」
---[11]---
そう言って、一度は足元に目線を落とした信廉が、再び目線を上げた時、その瞳は濃い赤色へと変わっていた。
元々黒、正確にはダークブラウンの濃い茶色だった彼の目は、血のように赤い色へと変わり、暗闇でもはっきりと浮かび上がるかのように見える。
釘付けにされるように、私の視線はその眼へと引き寄せられて、より一層協調されているように見えた。
「フェリ君、落ち着いてねぇ」
そして、横に座っていたエルンが、私を制するように手を握ってきた。
腰に携えた短剣を握る手を…。
「すいません。言葉で説明するよりも、何が違うのか…それを見せた方が早いと思ったのですが、軽率でした。謝罪させてください」
「いや、こちらこそすまない。最近色々とあって…、その条件反射のようなもの。あなたは悪くないわ。話を続けて」
---[12]---
「は、はい、では…」
信廉の目が元の黒目へと戻っていく。
「今の反応から見て、あなたは「悪魔」を知っている様子。そうです。今の目はその悪魔と同じモノです」
「・・・つまり、夜人というのは悪魔なの?」
「いえ、そこまでは。正確には、人の手では打ち勝つ事の出来ない存在である悪魔に対して、その悪魔と同等の力を得るために、「体に悪魔を封じ込めた者」。その存在が夜人と呼称されています」
当然ながら、説明された事は知らない事だ。
俺としての現実の一般常識にも存在しないモノ。
「我々…この世界の人間は、あなた達…天人界の人間や悪魔達と比べて、魔力機関がとても貧弱で、到底悪魔相手に戦える能力など持ち合わせていないのです。そこで目を付けたのが悪魔、人ならざる存在であるかの者達の魔力機関を利用する形で、我々は魔力による超人化を可能とし、戦う事ができるようになった。今の目の状態は、体内に封じている悪魔の魔力を使用した事による影響とでも思ってください」
---[13]---
私が言うのもなんだが、途方もない話だ。
悪魔を体に封じる…か、いったいどうすればそんな事が可能になるのやら。
考えるだけ無駄だ、答えが導き出せる気がしない。
でも分かった事が1つある。
「その原理がどうなっているかはわからないけれど、私達がここへ来た理由はそこにあるみたいね」
向こう…天人界で起きた悪魔との戦闘、私…俺に関わっているらしい悪魔…、そんな悪魔の事を知るのにうってつけの存在が、彼ら…夜人という存在という事か。
「着きました」
そして車が止まる。
大きな塀に囲まれ、車が止まった場所には、寺などと見間違う門が…。
---[14]---
こんな場所、俺は知らない…というか、周りの光景にも見覚えはない。
背に山を抱えた住宅街の一角に、そこはあった。
時代劇に出てくるどこぞの武家屋敷みたいだ。
「大きい屋敷だな」
「ええ、そうですね」
信廉が先導するように先を歩く。
「夜人としても、この近辺の地主としても、かなり力を持つ人です。それもあって、夜人の中では代表のような役割も担ってくれています」
「代表…」
つまりは一番偉い人…か?
さっき信廉も言っていた拳で語るタイプ…という言葉もあって、正直良いイメージが沸かない。
---[15]---
完全和風の平屋、蔵があるわ…道場らしきものもあるわ…。
車を降りた後、門へと私達を誘う様に、スーツマン達が壁となったため、塀がどれだけ横に続いているのかを確認できなかった。
門構えからして、その辺や建物等…それ相応のモノが出てくるとは思ったけど、予想以上にデカい。
とりあえず、一般家庭レベルの建物ではないな。
頭を空にして感想を言うなら、ただ一言、金持ちの家だ…に尽きる。
これで日本庭園じみたモノが出てきたら、もう本物だ。
「家に入るのに靴を脱ぐの、なんか変な気分だな」
和式である以上、建物の中に入る際は玄関で靴を脱ぐのだが、気持ち悪さを臭わせる表情で、イクシアは不満を漏らす。
「すいません。全てという訳ではありませんが、ここでの住居は基本土足厳禁で」
---[16]---
「ふ~ん。変わってるな」
イクシアの言いたい事もわからないでもない。
深く考えない様にしていた…というか、それが当たり前で私自身考えようとも思わなかったけど、向こうは土足だったな。
といっても、今履いていた靴のように、動けて戦闘もできる用のちゃんとした物ではなく、室内室外両者兼用のサンダルのような軽靴みたいな物を基本使うだけど。
建物の中は…外から見て察しはついていたけど完全木造、玄関が旅館並みに広いし、その空間を飾る様に置かれた置物たちもいちいち高そうだ。
俺も私も、こういった空間に慣れていないというか…、居るだけで気が滅入りそうだ。
「では皆さん。話をする準備も整ったようなので、行きましょう」
---[17]---
連れられた廊下の途中、窓から見える先には一戸建てが立ちそうな広さの綺麗に整えられた庭園が…。
「やっぱりあるんだ」
定番めいたモノを網羅するかのように、あるかも…と思ったものが次々と出てくるせいで、思わず声が漏れる。
「何がやっぱり…なのですか?」
「いや、何でも」
私の声に隣を歩いていたフィアが、同じように窓の外に目をやる。
「あ、小さなお子さんがいますね。たぶんフェリさんの妹さんぐらいの。あの子の事ですか?」
「子供?」
思わず足を止めて、フィアの言う子供を探して視線を泳がす。
---[18]---
確かに庭園を彩る1つとして設けられた大き目の池を、しゃがみ込んで覗き込む男の子の姿があった。
「この世界の人達も、違いがあるようで、実際の所、ほとんど違いは無いですから、こちらにもお子さんはいますよ」
「え、あ、そう…ね」
声を漏らした理由はそこではないけど、深堀する必要もないからフィアの話に乗っかっておく。
「ここです」
そして信廉が足を止めた襖の前、彼が中へ声を掛けると、それはゆっくりと開かれる。
軽く宴会でも引けそうな広さの和室…、鎧飾りに掛け軸に生け花等で飾られた床の間…、まさにザ・和室だ。
そんな一室で1人、がっしりとした体格に、着物を着こんだ白髪交じりのベリーショート…顔のあちこちにシワのできた男が座る。
---[19]---
眼光鋭く、小動物のその眼力だけで仕留めんばかりの目に、思わず生唾を飲んだ。
信廉に誘われるがまま。その和室に入り、その着物の男性の前に用意された座布団へと腰を下ろす。
「よくおいでなさった。天人界の方々…」
そんなに大きい声を出している訳でもないのに、その男性の声は耳の奥まで届く。
「見知った顔もある…が、改めて名乗ろう。私の名は「久遠寺和正(くおんじ・かずまさ)」。夜人の一族、久遠寺家16代目にして現当主を務めさせてもらっている」
どことなく威圧的、気が張り詰めたかのような空気、仏教面な面持ちもその要因だろう、自己紹介をされているだけなのに息が詰まる。
「久しぶりに会うっていうのに、随分と偉くなったなぁ。カズ」
そんな重い空気漂う空間で、真っ先にそれを打ち破るエルンの声。
---[20]---
「その呼び方は遠慮願いたい所だ、ファルガ殿」
一瞬、眉間のシワが深くなったように見えた和正の眼光が、エルンへと向けられる。
「もうだいぶ昔の事なのに。よく名前を憶えてたねぇ」
「天人界からの使者など、そう頻繁に来るものでもなし、少ない中で私が初めて会う事が叶った天人である貴女達を忘れる訳もない、見た目も大して変わらんしな。ラクーゼ殿もお久しぶりでございます」
「和正…さん…ですか。ええ、覚えています。随分と大きくなったみたいですね」
「貴女達がこちらを去ってから、長い時間が過ぎた。大きくもなる。それどころか、私はもう老体への道を緩やかに下るのみ」
エルン達がイクシア達より落ち着いた雰囲気でいたのは、前にこっちへ来た事があるからなのか?
---[21]---
それに、口ぶりからしてだいぶ昔の話みたいだ。
大きくなりましたね…とか、甥や姪に久しぶりに会ってその成長に驚く典型文みたいなものだろう。
見た目は明らかに和正の方が年上だが、実年齢はこちら側が上、そこは向こうならではの成長速度等の差が垣間見える。
「まぁ、昔話は後でいっぱいするとしてぇ、話を進めようじゃないか、カズ」
「ファルガ殿、部下に示しがつかなくなる。その呼び方はやめてもらいたい」
「わかったわかった。これでも君の成長が喜ばしくてねぇ、つい」
「貴女は長い時間があっても変わらないようだな」
和正は溜め息をこぼし、改めて私達に向き直る。
「貴女達が来た理由は、予め把握している。こちらで必要なモノがあれば自由に部下に命じてもらって構わない。して、ファルガ殿、ラクーゼ殿達はともかく、他の3人は何処まで知っておいでか?」
---[22]---
「え、わ、わたし…」
エルン達との絡みから、そこまで見た目通りという訳ではなさそうな和正だが、そこまで深くない質問のはずなのに、私は思わず言葉を詰まらせる。
「こっちの3人は悪魔の事はあまり詳しくないよ。この前、フェリ君に説明したぐらいだ」
「ふむ。天人界において、悪魔の存在はあってないようなモノ、貴女の追っているあの悪魔が特殊だ。知らない者が多いのも無理はないといった所だろう」
「そうだねぇ。だからこそ、終わったと思っていた同一種の悪魔の出現は、上の連中にその存在の危険性を考えさせる要因ともなった」
「正確には、その存在が、天人界へと与える影響の考慮…であるが。こちらとしても、悪魔の存在を放置はできん。協力は惜しまんつもりだ」
---[23]---
「お~、ありがたいねぇ。カズは話が分かる」
「そう言ってくる貴女はわかってくれないようだ」
「まぁまぁ」
「・・・。一応、今回の件についての確認をさせてもらっても?」
「ああ、構わないとも」
「では…、まず第一に悪魔の調査が目的、「悪魔界」の調査もその中に含まれると」
「そうだねぇ。君達の方で異変が何かなかったか。その辺の事も聞きたい所だ。あとは、純粋に次代を担う若者たちに、見聞を広げてもらいたいのもある。こういう時でもないと、こちらを知る機会は大きく損なわれてしまうからねぇ」
「本来なら、世界間の交流は必要最低限にしてしかるべき、必要以上の接触は控えるべきモノだが…」
---[24]---
「まぁ本格的に悪魔の調査に力を入れ始めたら、5人なんて少なすぎる。本腰をまだ入れてないって事だろうけど、今後はやり取りが増えると思っていいだろうねぇ」
「同一種とはいえ、それだけの影響力があったという事か。その悪魔は」
「何か、上にも思う所があるのかもしれないねぇ。そもそも前にこちらに来た時は、その1体目の件からだし」
「何かが…、変わり始めているのやもしれん…か」
「そうかも」
「・・・では、此度の人間界での滞在目的は、悪魔と悪魔界の調査、人間界の観光…といった所でよろしいか?」
「まぁそうな感じ。あと少しだけ私情が入るけど、問題ない?」
「ファルガ殿は、人間界における夜人の立ち位置を理解しているはず、それを逸脱するような行動をしないのであれば、こちらが止める事はない」
---[25]---
「そうか。それを聞いて安心だ。」
そして話は終わりを迎える。
この世界は勝手が違うから、十分な休養を取れ…と和正は言い残して、部屋を出て行く。
重く感じていた空気が晴れていくも、ここに…、この世界にいるだけで、徐々に溜まっていく不安を胸に抱き、より一層表情が硬くなるようなそんな気がした。
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