第20話◆慶からのメール⑨◆

◆詩穂さん、大丈夫だろうか? 三が日が過ぎた時に『風邪がぶり返したみたいで体調が良くない』ってメールを貰って心配して返信を送ったけど、あれから返事もないし。

電話もこういう時にはあまり悪いかなとも思ったけど、やっぱり気になってかけてみるけど留守電のままだし。

もう一日待ってみて、返事がなかったら、自宅の方に電話させてもらおうかと思ったりもしてるよ。◆慶◆


◆夜まで待ってみようと思っていたら、詩穂さんからのメールがあって、状況がわかってホッとしたけど。

大変だったんだね。随分、こじらせてしまってた様だけど、とにかく病院に行けて、診察を受けて、点滴、吸入もして貰えて良かったよ。薬も詩穂さんは飲み合わせの問題もあるもんね。

このメールの返信は気にしないでね。

とにかく、暖かくして、ゆっくりと身体を休めてね。食欲がないのも心配だよ。

こんな時に何もできない自分がもどかしい。

◆慶◆


◆電話ありがとね。でも無理しちゃダメだからね。咳き込んで辛そうな詩穂さん、それでも僕の方まで気にしてくれて。

どうかどうか、1日も早く元気な詩穂さんになりますように。

◆慶◆


◆電話の声、細くて震えてて元気なかった。

心配で堪らないよ。

僕は無力だ。

だけど、側にいるからね。

いつだってずっとこれからも一緒に生きていくんだからね。

今は身体がきつくて気持ちも弱ってると思う。だけど大丈夫だよ。絶対に大丈夫だからね。

少しずつ良くなってきてるみたいだしね。

後は食欲がでてくれたらいいな。

◆慶◆


◆お風呂に入れるくらいには回復してきたって聞いて、ホッとした。

でも長く湯船に浸かりすぎると、また体力が戻ってなくて負担がかかるから、気をつけるようにしてね。

今日は電話の声も少し元気が出たみたい。

焦らないで、とにかくゆっくりと治していこうね。◆慶◆


◆今日は一段と冷え込みがきついよ。詩穂さんの方は大丈夫かな?

ちゃんと暖かくするんだよ。

風邪は治りかけが大切だからね。

◆慶◆



◆慶の独白◆

(詩穂さんがこんなに体調を崩して寝込んでしまうなんて、前に入院した時以来で、心配で堪らなかった。離れているこの距離をもどかしく感じることの中でも健康問題はやっぱり大きい。考えたくもないけど、詩穂さんに何かあったら……僕は耐えられそうにない。

僕らはこの問題を乗り越えることができるだろうか。いや、乗り越えていくんだ。今すぐにはどうにも出来なくても、諦めなければきっと道は開ける。二人で開いていくんだ)

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