第5話◆慶からのメール②◆
◆詩穂さん、いつも元気づけてくれて、ありがとう。
最近は、余裕がなくて詩穂さんとゆっくり話すこももなかなかできなくてごめんね。
母のリハビリ、思うように進まなくて、何だか家族皆がピリピリしてしまってる。
わかってるんだけど、僕も自分の仕事と母の病院への送り迎え、家事も洗い物くらいはと智子を手伝っているけれど、それが精一杯で。
智子は智子で良くやってくれていると思う。
それはわかっているんだけど、母もね、歳のせいもあって言い出したら聞かなかったり変に頑固になってきたりでね。
母への愚痴を智子から聞き、智子への愚痴を母から聞き、と、ちょっとストレスが溜まり気味ではあるよ。
自営はサラリーマンと違って、職場=家になるから、仕事と家の事の境界が曖昧なのが、しんどいよ。ウチは家族経営だから24時間一緒だしね。
ごめん、僕も詩穂さんにだと、ついつい甘えて愚痴を言ってしまうよ。
昼間はそうでもないのに、朝晩が冷え込んできたね。
詩穂さんの体調もずっと気になってる。
何も出来ないのがもどかしい。
僕も二人で撮った写真、さっきも見ていたよ。
不思議だね、二人で一緒に見るもの聞くものはどうしてあんなに楽しくて、食べるものは、みんな美味しいんだろう。
今度、逢えたら、どこに行こうか、何を食べようか。
詩穂さんの楽しそうに笑う顔が早くみたいよ。
ああ、詩穂さんと、また最近読んで面白かった本の話したり、ほら、懐かしの曲、好きなのを一緒に聴いたりとかしたいね。
そして、僕はやっぱり詩穂さんに触れたい。白くて、きめ細かくて柔らかな詩穂さんの肌の温もりを思い出してるよ。
寂しい思いばかりさせてごめんね。
だけど、どんな時でも側にいるから。
ずっと、ずっと一緒だよ。
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