第4話◇詩穂からのメール②◇

◇慶ちゃん、工場の機械、修理が無事に終わって良かった。

重なる時は色々重なってしまって途方に暮れそうになるけど、こんな時だからこそ、一緒に乗り越えていこうね。


逢った時にいつも一緒に撮ってる写真、今も見ているよ。

この二人の記念写真も随分、溜まってきたよね。

それから、わたしの提案で撮り始めた、繋いだ手の写真も。


寂しくなると、いつもスマホの二人の画像フォルダを開けるの。

笑顔のツーショット見て、繋いだ手の温もりを想い出して。


智ちゃんからもメールを貰ったよ。

わたしも智ちゃんも大好きなドラマの展覧会が、そっちであるからって。

「グッズを買って来ますから、兄にことづけておきます」との事です。

嬉しいなぁ。

今度逢う時の楽しみが増えました。


お母さんのリハビリ、大変だと思うけど、焦らずにじっくりだね。

早く良くなりますように……。


わたしの体調も心配かけちゃって。

元々の持病による余病併発は、ある程度は覚悟はしていたけど……。

毎月の病院がまた1つ増えたのはやっぱり、しんどいよ。

ごめんね……慶ちゃんも、きつい時なのに。


大丈夫。

わたしは、しぶとさが取り柄だからね。

今はとにかく、お母さんと智ちゃんのことを一番に考えてあげてね。


朝晩、寒くなってきたから、風邪ひかないようにしてね。


大好きだよ。


§


*詩穂の独り言*

逢いたい。

本当は、そう言いたい。


だけど、持病からくる余病併発の怖さも、父の病気のこともやっぱり詳しくは話せない。


それでなくても慶ちゃん、クタクタに疲れているのがわかるのに、これ以上、他のことでわずらわせたくない。


それに、わたしも母親だからわかるけど、お父さんもいない今、慶ちゃんのお母さんは、慶ちゃんや智ちゃんをどれだけ頼りにしているか。


その気持ちがわかるから、尚更。

お母さんを優先してあげて欲しいと思う。

わたしも息子から支えて貰っているから。


もっと近くに住んでいたら良かったのに。

そしたら、顔だけでも見れるのに。

温もりに触れることができるなら、どれだけ心強いだろう。


心の中でなら言ってもいいよね。


……逢いたいよ……。

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