15 遥かな時の中で



――少年は代償を支払い、永遠に虚無の世界をさまよい続けていた


――いつ終わるとも知れない、長い長い旅路を、ただ歩きながら



(思い出せない)


(僕はどうしてこんな所にいるのだろう)


 時が止まった世界で生きていく

 永遠と続く同じ時間

 立ち止まったまま どこへも進めない


 振り返って過去は

 真っすぐに見つめた未来は


 そんなに良い物なのだろうか


 遥かな時を生き続ける

 いつしか理由を忘れて

 ただ生きるために生きて

 しないために生きてきて


 愛おしいものも 大切なものも

 全て忘れてしまった


 記憶欠けていく

 思い零れ落ちていく


(思い出せない)


(僕はどうしてこんな所にいるのだろう)


(どうしてこんな所で、膝を抱えて一人で居続けるのだろう)


(もう思い出せない)


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