終焉を語る歌姫

01 天秤世界の守護者



 ――冬の世界は間引く箱庭


 ――夏の世界は量産する箱庭


 ――世界の均衡は保たれていた


 ――終焉の鐘が鳴り響くまでは



 たがう鐘の音が 互いをかき消して 散り消えゆく音が

 偽りと正しさ 語りかけ


 命のあるべき姿 世界のあるべき景色が 永久に続けよと 嘆く

 王がいた 広間に 突き刺さった剣が血まみれで

 叶わぬと知った 理想失った 過去の亡霊 歩く


 黄昏の地で ただ 箱庭を作り続けた

 誰もが名前を忘れ 消えうせ 記憶からこぼれ落ちたとしても



 雨降あまおろす天が 裁きに落とし 鳴りやまぬ鐘をこわそうとして

 いても まだ…… 膝屈せぬ 譲れぬ 願い抱き続け 空へと

 託す思いを 未来へ 


 別つ運命 二つ 違えた立場が示す

 失くした調べ 消えた導 ただ傍にあるだけで 戻らない


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