03 -メグとファンタスマゴリア―



 水槽の中の魚は可愛らしい。

 四角く切り取られた人工的な楽園は美しい水色で、鑑賞している者の目を楽しませる。


 メグは自分達が水槽の中の住人だと言う事を分かっていた。


 それはもう、ずっと前から。


 ここは作られた箱には。

 見せかけの楽園。


 自由と言う名の鎖に縛られ、生きる者達は与えられた役割を背負う為だけに存在する。


 メグたちは、まるで鏡に映った胸像のようで、水面に映った月の様だった。


 けれど、その箱庭におそらく最初で最後の来訪者が訪れる。


 出口のない世界から彼らが抜け出す方法はたった一つだけ。

 この箱庭を、壊す事。


 最後に見る夢は、水槽の景色らくえんだろうか。

 それともかなうはずもない外の景色げんそうになるのだろうか……。



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