600 ガストたちの、悪戯
「えっ?あっ、そうなんですか?」
やって来た男たちは、それぞれ顔を見合わせて、「えっ?」とか「あれ?」などと言い合っている。
「いや、だって交代まで、まだかなり時間あるはずだぜ」
「えっ?そ、そうだったのですか……」
「……あと、なんだよそのたいまつ。ちょっと、火が弱くないか?」
男たちが持っているたいまつはどれも小さく、いまにも消えてしまいそうだ。
「あぁ、これですか。なんか休憩所にあるものを持ってきたんですけど……」
「あれかぁ。あれ湿気ってるから、誰も使わなかったんだよ」
「あぁ、そうだったんですか……」
「お前ら、もしかして新入りか?」
「えっと、はい」
男たちの一人が上を組んだ。
「いや、でもおかしいな……さっき、上の人からは、交代に行くようにって、言われたんですよ」
「マジか、それたぶん、伝達ミスだなぁ」
「えぇ……そういうことですか。……あっ!じゃあ、」
腕を組んだ男はぼやくように言ったが、すぐに口調を変えて、門番の男に言った。
「ちなみに、
「いや、まだやってない」
「それなら、せっかく来たので、やっていきますよ」
「えっ、マジで!」
「はい。新入りなので、どんどん、やらせてください。それと、よかったら、ちょっと休憩でもしてきたらどうですか?門の番は、僕らのほうでやっておきますので。……なっ?」
皆、首を縦に振っている。
「マジで!いやぁ、持つべきものは、よき後輩だな!」
門番をしていた男は、軽く引き継ぎをしたあと、すぐにどこかへと行ってしまった。
「……フ~」
それを見送った、先まで主に話していた男が、持っていたたいまつに息をふきかけて、小さな火を消した。
「……」
そして、そのもっていたたいまつを、くるっと半回転させた。
――ボゥ……!
たいまつに火が灯る。その火は大きい。
そして、その男……ガストと仲間たちを、明るく照らし出した。
「いくぞ……」
ガストとその仲間たちは、皆で厩舎に入っていった。
ラクダ舎と違い、厩舎は馬一頭ごとに木で隔てられた個室が設けられている。
「ククク……」
「フフ……」
ガストの後ろで、仲間たちが、笑いをこらえきれずに吹き出しはじめた。
「アイツさ、マジでバカじゃねえの?」
「ああ、こんなに簡単に厩舎に侵入できるなんてな」
「あの男は、サボり癖のあるヤツだからな。この前も、ふらふらと厩舎から離れたところで歩きながら、立ち食いしてやがった」
馬を見回しながら、ガストは言った。
「マジかよ」
「だから、利用してやったぜ。さて、どの馬にするかな……おっ」
厩舎の奥のほうにいた、そこそこの大きさではありながら、自分たちの力でも引いていけそうなほどよい馬の前で、ガストは足を止めた。
「よし、君に決めた……!」
――ギギィ……。
ガストと仲間たちは、その馬の個室の扉を、ゆっくりと開けた。
(嵐のサロン対抗戦 決勝トーナメント 終わり)
(メロ共和国 中編 終わり)
================================
御礼
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!!作者のじっくりでございます!!
本当に、ただ、お礼が言いたくてここに書かせていただきました!
数あるコンテンツがある中で、私の作品に興味を持っていただいた上、ここまでお付き合いいただいた皆さまには感謝しかありません。
何度でも言わせてください。本当にありがとうございます!!
せっかくなので、軽くこれからの展開予定というか、構想をば……(こういうの、やってもいいかなと思いましてw)
○メロ共和国 後編
(混乱極まる国:ルナの中にある、十の生命の扉:ジン=シャイターンとの戦い)
○帰還後 キャラバンの村
(長老の悩み、村のこれから:マナトの瞑想、人魚の主のもとへ)
○湖の村の若村長ジャンの奮闘
(キャラバンの村との交易、協力:ジャンの苦悩:アクス王国への交易)
○アクス王国 マリードの夜
(メネシス王家の腐敗:メロ共和国イヴン、岩石の村サーシャの行動:ジン=マリード、真の姿)
ざっくり構想です!変わる予定は、あります!笑
ですが、これでおそらく『クルール地方』としては、書ききったことになると思いますので、このままいくと思います!
ひたすら、更新し続けて参ります。
とにかく、目下、1000話目標で!
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます