361 サロン大会の情報
「あぁ、まさに青春……!」
「ぬぉっ!?」
深みのある男の声がしたと思って振り向くと、丸メガネの、背の高い金髪男……シュミットが、いつの間にか、マナト達のすぐ後ろに立っていた。
「サーシャさま、今が一番、輝いていらっしゃる……!」
「シュミットさん、どちらへいらっしゃったんですか?」
召し使いが聞くと、シュミットは後ろ指でラクダ数頭を差した。そのラクダ達は、交易用でなく、商隊のラクダだった。
そこには、ミトやリート、また、他のキャラバン達も、数人いた。
「彼らと共に、私とサーシャさまの作品を、貸し倉庫のほうへと納庫しておいたのです」
「あっ、今日は依頼者のほうへは、行かないのですね?」
マナトが言うと、シュミットがうなずいた。
「はい。昨夜も西のサライでセラさんとジェラードさんが言っていたように、できるだけ個別での行動は避けたほうがいいということだったので」
「あぁ、そうですよね」
昨日の夜、西のサライで出迎えたセラとジェラードから、メロの国内にジンが潜伏している可能性が極めて高いという報告があった。
そのため、メロの国内を行動するにあたり、商隊全体として、個人の行動は避けるようにしているのだった。
「それと、今日はこの後、どうやら顔を出すところがあるようで」
「あっ、そうなんですね」
「マナト!」
すると、マナト達のもとへ、ミトもやって来た。
「ラクダの納入、終わった?」
「うん、終わったよ。……ミト」
「んっ?」
「いや、その……」
「大丈夫だよ、マナト」
ミトは、マナトをまっすぐに見つめていた。
「……うん!」
やがて、集合がかかり、ムハド商隊のみんなと、岩石の村の面々が、一同に集まった。
ムハドとセラが前に出て、皆のほうを向いた。
「昨夜、サライでも言いましたが……」
セラが口を開いた。
「この、メロの国では、現在、ジンが潜んでいる可能性が、極めて高いです。単独での行動は、危険。そのため、岩石の村の芸術品の納品は、明日、キャラバンが同行するようにしましょう」
セラが岩石の村の面々に、顔を向けた。
「それで、よろしいですか?」
サーシャとシュミットはうなずいた。
「んじゃ、これから全員でサロン大会に乱入するぜ」
「……えっ?」
「サロン……?」
「大会……?」
ムハドの言葉に、皆、ポカンと口が開いていた。
「メロの交易担当から聞いてな。ちょっと、この巨木のエリア内で、面白いイベントやってるらしいんだよ」
すると、ムハドが、リートやケント、ミト、ラクトなど、数人に目をやった。
「ちょっと、場合によっちゃ、数人にはカラダ張ってもらうことになるかもな」
「……えっ、カラダ、張るの?」
「……んんっ?」
「という訳で、サロン大会に殴り込みにいくぜ~!」
ムハドに目を向けられた面々がハテナハテナしてる中、ムハドを先頭に、皆、歩き始めた。
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