348 フェンの疑問
「あたし、ですか……」
「当然!このサロンで、というより、この国でおそらく一番強いんだもの。ウテナがでればもう、100人抜き間違いなしでしょ!」
「……」
ウテナは一瞬、浮かない表情をしたが、すぐに決意の表情へと変えて、ライラに振り向いた。
「分かりました!」
やがて、サロン大会の一日目が終了した。
キャラバンの皆が、続々とテントの外に出てゆく。
外には立食形式の料理が準備されていた。肉や野菜、魚が焼かれ、香ばしいに香りが漂う。
外は、少し陽が傾いて、空全体がオレンジ色に染まる中、巨木の影が伸びて、暗くなったところには、マナのランプが灯っている。
皆がワイワイと食事を始める中、テントの出入り口付近には、明日以降の、サロン対抗戦の受付が、即席で設けられていた。
そこに、フェンのサロンはいた。
「あ~!ウテナ先輩だぁ~!!」
「キャ~!!」
ウテナを見つけた2人の女子キャラバンが、近寄ってくる。
「私たち、ウテナ先輩のファンなんですぅ~!!」
「あっ、えっと……」
「ウテナ先輩に憧れて、この前、キャラバンになったんですぅ~!!」
「そ、そうなんだ、あはは……」
「交易競争、一位おめでとうございますぅ~!!」
「あ、ありがとね」
ウテナが、2人に絡まれている。
「ウテナ、日に日に、反応が薄くなってきてる気がしない?」
「まあ、だんだんと、そうなっていくものなんじゃない?」
ライラとフィオナが、その光景を微笑ましく見守っていた。
そんな中、フェンは、受付に並ばずに、周りを見渡していた。
「どうしたの?」
気になって、ライラが問いかける。
「さっさと受付済まして、食べにいきましょ?」
「いや、サロン対抗戦に、どんなサロンが参加しているのか、気になってね」
フェンが言うとおり、他にも参加表明を示しているサロンがたくさんいて、受付に並んでいた。
「フェン、あれ……」
フィオナがフェンに耳打ちした。
「交易競争で競り合っていた、3位のナジームのサロンか……」
「ええ。彼らもまた、アーリの階級では、なかったということね」
「そうだね」
すると、もう一団体、サロン対抗戦の受付に向かうサロンが見られた。
「あれ、今回2位のアイーダのサロンよ」
「……」
今回の、交易報酬競争のベスト3はすべて、今回の階級制度において、上階級アーリではなかったということになる。
「フェン、これって……?」
「少なくても、この階級制度において、交易報酬競争の結果は、考慮されていないようだね」
「あぁ、なるほどね」
「いったい、どんなサロンが、アーリの階級になったんだ……?」
フェンは、誰に問うともなく、つぶやいた。
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