327 3人の会話
「オルハン、上位じゃないと、ぜったい、不機嫌になりそうじゃない?」
「ウフフ、間違いないわね」
ライラが言うと、フィオナが笑った。フェンは、飲み終えた飲み物の、残っている氷をコロコロ転がしながら、2人の会話を聞いている。
「いま、打ち出されてる、サロン同士の交易報酬競争も、オルハンが一番気合い入ってるし」
「男って、そういうのに、すぐにアツくなるわよね~」
「まあね。勝ち負けにこだわるタイプっていうか、なんていうか」
「別に下位でもよくない?格付けされたところで、実力は変わらないし」
「たしかに。それは、そうね」
「あっ、ちなみになんだけどさ……」
フェンが、飲み物から手を離し、女子2人が話しているところへ、割って入った。
「ある程度、上位じゃないと、交易に行ける国が制限されてしまうんだよ。たしか、アクス王国に行ける階級から……」
「えぇ!?アクス王国に行けない階級とかあるの!?」
「あ、ああ。てゆうか、そういう、制度だからさ」
「イヤ~!!」
ライラの絶叫を聞いた、周りで飲み物を飲んでいた客たちが、ビックリしてライラを見た。
ライラが、フェンにグッと、顔を近づける。
「私、アクス王国には行けるだけの階級がいいんだけど!」
「ら、ライラ、いや、俺に言われても……」
フェンが困りながら言った。
「というか、ライラ、なぜ、アクス王国に?」
「やっぱり、食べ物だろうと、服だろうと、流行りの最先端ってやっぱり、アクス王国じゃない!」
「ま、まあ、そうだね」
「私、交易で立ち寄るアクス王国での買い物が、キャラバンやってて一番幸せな瞬間なの!」
「な、なるほど……」
「私たち、ワイルドグリフィンを撃退したのよ!!」
「は、はい」
「アクス王国なんて、西のサライ経由するだけの簡単なお仕事じゃない!」
「い、いやだから、俺に言われても……」
「まあでも、危険といえば、危険かもしれないわね」
「そうそう危険……って、えぇ!?フィオナ!?」
予想外の言葉が飛んできたことにビックリした様子で、ライラはフィオナを見た。
「フィオナまで!?」
「冷静に考えて、いまの交易環境……メロからアクス王国までの道中は、あまりいいものではないわ」
フィオナの言葉に、フェンもうなずいた。
「大体一度は、盗賊との交戦している状況だし、それに、私たちは、ジン=グールとも遭遇したことがある。だから、メロとアクス王国は近いといえども、当然、油断はできないよ」
「えぇ……」
すると、ライラはフェンの肩を持って、揺らし始めた。
「いつ分かるの!?いつ、サロンの階級が決定するの!?」
「あ、明日のサロンの大会だよ」
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