第13話久々
「おい」
低くあり、優しい雰囲気もある最近聞いていなかった声がふいに聞こえてきた。
「お久しぶりです」
今まで通り淡々と答える。
「決着つけるの遅くねぇかお前らなぁ」
「私のせいじゃありませんし、遅くたっていいんじゃないですか。大事な大事な愛養子なのですよね?」
「あぁ、あいつが言ったのか。でもそれを言うなら愛息子な?」
珍しく圧を感じる。まぁ、結構想像通りだったりもするが。
「すいません。」
「いいや、気にするな。お前がそういいたくなるのもわからんでもないからな」
「はい。それで、その愛息子を私なんかと組ませていいんですか?」
「お前はなんで私なんか~とか言うんだ?」
私なんか~の部分を高い声にしているのは少しイラっと来たがまぁそこは考えないことにしよう。
「こんな危険な戦い方をする、人の命も自分の命も蔑ろにする、ただ毒に侵されたモノを殺すだけの化物に愛息子を預けていいんですか」
「別にお前にあいつを預けるなんて言ってないだろ?死ぬときゃ誰でも死ぬんだ。たとえ強くても運が悪けりゃコロッとな。」
「まぁそうですが…」
「なんだ、
「残念ながらあたりです。昔、灰音も私のことを守るって無邪気に言ってくれたことがあるんですよ。あの時の灰音が生きていれば祐みたいに強くなっていたと思いますよ。その2つの違いですが、結構大きいと自分でも思います。灰音がいれば私も違っていましたかね…」
「お前が結構拗らせたブラコンだったことは知っていたがそこまでとはなぁ~」
「別にブラコンではないですが」
「はいはい、そういうことにしといてやるよ。...まぁ灰音が生きていればだいぶ違っていたと思うぞ」
「そうですよね…」
「だが、違うというのはいい意味だけではないぞ。もしかしたら灰音がいたらお前はここまで強くならなかったかもしれない。あんなに淡々と毒に侵されたモノを殺していくことはできなかったかもしれない。」
「灰音のせいで私が弱くなるなんてことは…っ」
あわてて言い返したが自分でもどうしてそんな言葉が口から出たのかわからない。
「あくまで可能性の話だ。でも今は灰音はいない。今現在の現実はこうだ。それだけは、履き違えるな。祐と灰音を勝手に重ねるのは止めない、が、気を付けろ。一歩間違えばお前は自分を今を見失う」
「はい…」
「今、丁度出動命令がでた。祐と行ってきてくれ」
「了解です」
「そういえば、祐って呼ぶようになったんだな」
「いつも一言余計ですよね、それでは目標の情報を」
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そして、また今日も頬を血で濡らして戦う。生きる意味を見いだすために。
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