第10話再び

「軽口がたたけるようになったってことは、なにか成長できたってことなのだろうか。」


...服装。普段任務に行きやすいような格好しかしていないな。

無駄に服はあるのに着ていない服ばかりだ。そういえば母が買ってきてくれたものだらけだ。

買ってきてくれること自体はありがたかったが、オシャレをするようなタイプでもないのだから正直言って2,3着あれば十分だとも思っていた。なのにそれでも母がたまにはちゃんとオシャレしなさいと言うものだからきちんとした服を着ることもあった。


「お母さんが死んでから《をころしてから》オシャレなんてしていなかったな。」


少し祐さんを驚かせてみようか。

最後に茶化すためにオシャレしてきてくださいと言ったようだし、実際にしてくるなんて思ってもいないだろう?

面白そうだ。どんな顔をするのだろう。灰音はいねのように噓でしょなどと言いながら笑ってくれるだろうか。

少しは元気になったのなら笑えるはずだ。前のように絶望の顔ではないことを願う。もうあんな顔は誰のも見たくはない。

さて、どんな服を見繕えばいいのだろうか。

休暇中くらい童心にかえってといってもまだまだ子供だが、幼稚園児くらいに戻って1人でファッションショーをするのも悪くはないだろう。






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「..?!結嶋先輩?」


「ええ。そうだけれど」


「噓だ…え?本当にオシャレしてきたんですか?!」


「書いてあったからね。どこかおかしくはないだろうか。こんな服を着たのも久しぶりでね。」


「いやいや…書いてありましたけど…。おかしくはないですよ?!!とっても似合ってると思います。」


「わざわざお世辞ありがとうね笑」


そう言ってその場でくるりんっと回ってお辞儀をしてみる。

オーバーサイズの黒と白のニットパーカーと、膝丈程のジーンズ生地のスカートが翻る。髪もサラサラっとスカートを追うようになびく。

黒い厚手のストッキングで、肌寒い今日への対策はしてある。少し寒いとすれば、白い首元だろうか。ボブでは首全体は覆えない。


「先輩...とっても様になってますね。綺麗ですよ(笑)一応言っておきますがお世辞ではないですから」


そういう祐さんも整った白い顔立ちに、男性の髪形はよくわからないから…そうだね、女性で言うショートくらいの綺麗な黒髪で、紺のチェック柄のシャツに黒の上着、ジーパンというシュッとした服装だ。

身長は私よりも少し高いから160といったところだろうか。さぞ同級生にはモテるのだろう。お世辞も上手だ。


「そう、なら素直に喜んでおくとしようかね」


「ええ、そうしてください?僕女性には噓が付けないものなので(笑)」


「私が言えたことじゃないけれど、中学生の会話ではないな(笑)」


「少し周りが綺麗な先輩に惹かれてこちらを見始めたのでどこかへ場所を移しませんか?」


「私に惹かれたのではなく、口調に興味を持っただけでは?」


「どちらでも構いませんが、素直にうけとっておいていただけると(笑)」


「そうね。あまり人目につくのもよくないからね。早く場所を探さなければ」


「では、あの現状保存されている場所に行きましょうか」


「どんな話を?」


「それはついてからのお楽しみってことで」














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