第9話祐

[会えますよ]


この返事を見たとき安心して笑みがこぼれた。

それと同時に、今までとは違う恐怖に襲われる。

結嶋先輩は相談に乗ってくれるだろうか。

理解してくれるだろうか。

助けてくれるだろうか。

力になってくれるだろうか...。



...




やっぱり僕はまだ弱いんだ。

人に頼らないとなにもできないそんなやつなんだ。

わかってた、わかってたさそんなこと。

でも受け入れたくなかった。

強くなったって信じていたかった。

思い込みたかった。

そうでもしないと今にも崩れ落ちそうだったから。

燐花りんかお姉ちゃんがいなくなって僕には喪失感と出来損ないの自分自身しか残らなかった。

僕を知ってちゃんと認めてくれる人は自分だけになった。

あとは周りの、功績だけを見て褒めてくれる人だけ。

天才だのなんだの謳っているが僕は努力をしてきたんだ。

凡人でも誰でも努力は出来るんだ。

それを身につけただけなんだ。

ギリギリの場所にいて、ちょっとでも気を抜けばすぐに自分より優れた人間に追い抜かれる。

そんな中で運良くここまでこれただけなんだ。

何度もそう言いたかった。

でもそんなもの周りは求めていない。

強くて凛とした僕を求めている。

だからそのために取り繕うしかなかった。

そうしたら尚更理解者など現れるはずもないのに。

でも僕には今しかない。

いつ死んでもおかしくないそんな戦場に行くんだから今のうちにできるだけやっておかなければいけない。

昔みたいな出来損ないの僕じゃないんだ。

それを証明して一人前とお姉ちゃんに認めてもらうために。

半場意地だった。

でもその意地と見栄と偽りの強さが今の僕には邪魔でしかない。

だって、自分自身の弱さに気付くのがこんなにも遅れたから。

そして、こんなものお姉ちゃんの望む僕には必要ないものだから。

本当に今までの僕は馬鹿馬鹿しい。

こんな簡単な事にも気付かなくて、なのに成長出来てるって自惚れてて、周りが望むとか望まないとかいっちょまえに物言って。

大切なものを忘れきっていた。

自分の目指す先はなんなのか、自分は何を望んでいるのか。

結局何をするにもが一番の原動力なのだ。

他人の思う所に立とうとしても途中で心が壊れてしまう。

たとえ立てても自分にはなにも得られない。

そんな悪夢のような道に自分が進もうとしていたと思うとゾッとする。


「これできちんと自分には向き合えたかな。次は結嶋先輩と向き合う番だ。」


自分の弱いところを知ったというのに僕の心はすっきりしていた。

今までのモヤッとしていた気持ちの代わりに新たな覚悟が心に芽吹く。



[ありがとうございます。明日あの初めて僕が人を殺した場所に11時にお願いします。

P.S.もちろん電車で来てくださいね?任務じゃないので、デートだと思ってオシャレしてきてください笑笑]

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