第7話祐

あれから一週間がたった。誰とも連絡を取らずに部屋にこもって過ごした。

いつもニコニコ笑って能天気な僕だけど、さすがに堪えたね。

最初は大丈夫だと思ってた。でも、最後まで見ると怖いというか悔しいというか...。

よく結嶋先輩は笑っていられるな。あの笑顔も嘘だったみたいだけど。

ちょっと僕と似てるかな。

僕が人を殺したのは、初めてで、でも結嶋先輩がいたからこれからどうすればいいかわかった。

…?

あれ…。いろんな噂を聞いたけど結嶋先輩は、入ってから誰とも親しくしていないみたいだし、ペアの制度ができたのはつい最近。


「ってことは結嶋先輩は、初めて人を殺した時独りだったってことだよね」


アハハッ

僕はこれでも軽い方なんだ。最初は多少の好奇心だけでこの部隊に入ったけどやっぱりそんな甘いもんじゃなかったんだ。

そして人を殺した時、傍に人がいて、どうすればいいか教えてくれて、だいぶ僕は恵まれてるんだな。

正直最初はなめてた。あの時ぶつかったのはわざとだ。プロならよけるかなと思った。でもそのままぶつかった。

あれ?大したことないのかもとか思った。

でも、仕事モードになると別人だった。

あの無駄のない動きは、見惚れそうになった。

そして、人を半年という短期間で103人も殺して、それでも冷静でいられるあのメンタル。それは独りで創り上げたもののようだし。

僕はどれだけ甘く見ていたんだろう。

…ってか本当に1歳しか違わないよな??

あの落ち着きは普通じゃない。しかもそれを独りで…と思うと自分の弱さと甘さをすごく感じてしまう。

強くならなければ…。このままじゃ、お姉ちゃんに顔向けできない。

小学3年生の頃、僕を庇って死んだ、燐花りんかお姉ちゃん。

毒に侵された人に殺されたんだ。

その出来事があってから強くなった。努力した。そしたら飛び級までできて、推薦までされた。それで思いあがっていたのかもしれない。いや思いあがっていたんだ。

もう僕は強くなれたんだ…と。

ごめんなさい、お姉ちゃん。

そして、あの毒に侵された人を殺してくれた男の人。かっこよかったな。僕もああなれるように、人を殺しても立ち直ってまた、次へ進めるようにならないと。

あの時庇ってくれたお姉ちゃんにも毒殺優先部隊員の人にも申し訳ない。

本当はあの時の前に、何があっても僕が守るからね!って言ってたのに、約束を果たせなかった弱い僕でごめんね。

でももう、違うから。お姉ちゃん。今ならお姉ちゃんを守れるかもしれない。

まだ、立ち直るところまではできていないし、結嶋先輩みたいに無駄のない動きとかあんな戦闘能力もなくて不完全だけど、いつかはお姉ちゃんに認められるようになるからね。


「…年子だったよね僕たちも。お姉ちゃんと結嶋先輩重ねないように僕も気を付けないと。」





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