第2話敵
今の私が相手をしているのは、ナイフで慎重に傷をつけてくるような甘い奴等ではない。
2020年、東京オリンピック後にある歴史的悲劇が起きた。それは、毒によって行われた。東京オリンピックより前から計画はあったようだが秘密裏に行われていたため近所の人にもどこにも情報が洩れていなかった。
まぁ、東京オリンピック後といってもその毒は少しずつ撒かれていたようで、その毒が効果を発揮し、害を及ぼし始めたのが東京オリンピック後というだけだったというのを知ったのは国側に入ったごく最近の事だ。
その悲劇が起きた後は大変だったようだ。その毒のせいで獣たちや動物、人間までもが狂暴化し、毒や薬物が恐れられるようになった。そのせいで理科…というものが必須科目から消えたらしい。他にも薬について研究している善良な施設でさえも消されたのだとか。そのおかげで医療は東京オリンピック以降進歩も退化もしていない。薬はただただ複製されるだけだ。
その現状から抜け出そうと国は自衛隊やらなんやらをつぎ込んで撲滅を試みたができなかった。どうしてか?そんなの簡単。住宅街で銃バンバン打てないでしょ?住宅街に重機やら兵器やらもってこれないでしょ?だから捕獲するしかないんだがその毒は主に唾液に多くにあり、ちょっと噛まれた、よだれが着いたとかそういうので、毒はばらまかれ伝染していく。それがわかると自衛官たちへの危険があまりにもありすぎて、そして国への信用もなくなるためすぐに取りやめとなった。
だが常に危険とは隣り合わせの生活。一般市民は武力も何もない。警察を呼ばれても間に合わない場合が多く、どうにかできないかと考えた結果、一般的市民も武力をつけておけばいいのでは?という発想に当時の国は至ったようだ。
それにより学校も大きく変わっていった。必須科目に剣術や武術が追加され、その代わりに体育…というものはなくなり、教師には元自衛隊員や、警察官などが入ることになった。今では教師になるには剣術と武術が一定値を超えていなければなれないようになった。
そういえば、今の私は国に仕えている。そこで毒を含んだ獣や人間を相手にする特殊部隊に配属されている。この部隊のみ、何をしても許される。…とは言っても、もちろん非常識な事をしていい訳ではない。ただ、戦いでどんな犠牲を生んでも、どんな損害を生もうとも許される、いや正確に言うとそんなことに一々構っていられるような戦いには出されない特殊部隊だ。
この特殊部隊の名は
昔の様に切られた血ではなく、自分が殺した獣や人の血で頬を染めながら。
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